My Little Prince

ドレスローザ王宮、謁見の間。

ドフラミンゴを暗殺すべく、どこからか刺客が紛れ込んだようだ。
女が銃を構えている。
こういう時のために、一応の護衛的な立ち位置で、私はドフラミンゴの側に控えている。
いや、大体にしてドフラミンゴ一人で対処が可能なので、私はおまけ程度のものだけど。

ひとまず私はドフラミンゴの元に銃弾が届く前に”Room”を展開していた。

「黙って銃弾ぶっ放すのはやめてくれない?
 流れ弾とか危ないでしょう?」

銃撃して来た黒いドレスの女が、短く舌打ちして私を睨む。

「・・・ドレスローザの名医。オペオペの実の能力者。
 ”神の遣い手”

まったく仰々しい二つ名がつけられたものだ。
ため息をついた私をまじまじと見つめ、黒いドレスの女が笑った。

「本来、そのオペオペの力はお前のものではなかったはずだ」

その言葉に、私は冷や水を浴びせかけられたような心地を覚えた。

今、この女は何て言った?

「どういう意味だ?」

ドフラミンゴが怪訝そうな顔をするが、私はその意味を知っている。
最大限警戒して、その女に向き直った。

「お姉さん、何者?」
「私もまた、運命をねじ曲げる女・・・。
 ああ、だが、お前の運命は、ドンキホーテ王と共にあるのだな?」

クスクス笑う女は私を指差した。

「あくまで運命に抗い続けると言うのなら、試してみるか?
 トラファルガー・

「・・・何を試すって言うの」
「お前が神に愛されるかどうかを」
、聞くな」

私の態度に何らかの違和感を感じ取ったらしい、ドフラミンゴが口を挟む。
私のこめかみに、一筋汗が伝った。

まるで誘惑されてるような気分だ。
知恵の実を蛇とイヴに差し出された、アダムのような。

その女はサークルを展開してみせる。
私のオペオペと同じように。

「”Time travel・Warp Drive!”」

次の瞬間、私の目の前が真っ白になる。
ドフラミンゴが私の名前を呼んだ気がした。



瞬くと、そこは掃き溜めのような場所だった。

「移動させられたの・・・?ここ、どこよ・・・」

若干途方に暮れていると、妙な喧噪が聞こえてきた。
眉間に皺が寄ったのが分かる。あまり良くない類いの諍いだ、これは。
喧噪の方に足を運ぶと、目に入った光景は想像よりも醜悪だった。

10人くらい居るごろつきが子供2人を殴っていた。
歳の頃は二人とも10歳くらいだろう。兄弟のようだ。
兄が弟を出来るだけ庇うようにしているから、より傷が深そうだった。

兄の方が何か、ごろつきの気に触る事を言ったのだろうか。
二人掛かりで子供を押さえつけ、もう一人がナイフを抜いた。

子供は2人とも青ざめている。止めてくれと叫んでいるが、誰も止めない。
それどころか笑っている。この世で最も醜い笑い方だった。

「ねぇ」

私は思わず口を出していた。
私の身なりがそれなりに小綺麗だからか、ごろつきの何人かが下卑た笑みを浮かべた。

「その子供、あなた達に何した?なんか盗られたの?」
「はァ?知らねェのか姉ちゃん」
「弱ェ奴は何されても仕方ねェのさ。ここいらじゃあ特にな!」
「・・・ヘェ?」

腕を組んだ私に、ごろつきはニヤニヤと笑い近づく。

「ところでアンタ上玉だな。売れば幾らになるかねェ」
「ハハハ!そう脅かしてやるなよ!泣いちまったら面倒だろう?」
「どうせ泣かすなら別の方法がいいさ、ナァ?そうだろう?」

馴れ馴れしく肩を組もうとしてきた男の手を、
私はためらい無くメスで切り落とした。
もうここはRoomの中だ。

「え、あ・・・!? お、おれの手・・・!」

私は切り落とした手を思いっきり蹴っ飛ばす。その手を中心に人がざっ、と捌けていった。
男はその手を拾いに駆け出している。

「『弱い奴は何されても仕方ない?』
 だったらあなた達、私に殺されても文句はないんだね?」

「なんだお前、急に現れて何言ってやがる!?」
「まさかガキを庇い立てる気か?!関係ないだろお前には!」

怯みながらもぎゃんぎゃん文句を言うごろつきに、私は息を吐いた。
こういう時にドフラミンゴの言いそうな事を言ってみると効くというのは分かっているので、
適切な言葉を探す。
できれば引くほど口汚く相手を罵るが吉だ。
ドフラミンゴの脅しのレパートリーはどうなってんだってくらい語彙も手段も豊富なので、
大分参考になった。

「関係あるよね。・・・お前ら私の視界に入っただろ」
「はァ?!」
「てめェのその醜悪なツラが目に入ったのが気に食わないって言ってんだよ。
 不細工な首から上を失くしたくなけりゃとっとと失せろ」

ついでに覇気を込めてやると、私が本気だと思ったらしい。
クモの子を散らすように去っていった。

呆然と私を見つめていた子供2人は、私と目が合うと、びく、と肩を震わせた。
・・・やり過ぎただろうか?

「君達大丈夫・・・じゃないよね。特にサングラスの方」

かがんでその状態を確認する。
ぱっと見て切り傷に打撲、煙草の火を押し付けられたような痕さえも見えて酷く痛々しかった。
コートのポケットから救急用の包帯と消毒液をだすと、兄の方が息を飲んだ。

「お前、医者か」
「そうだよ」
「・・・おれはいい、弟を見てくれ。散々あいつらに殴られてた」
「兄上、でも・・・」

「安心しなよ。どっちも見るから。それに君の方がどう見ても重傷でしょう、お兄ちゃん?」

兄の方がぐ、と唇を噛み締めた。
Roomで子供二人の皮膚の汚れを浮かしてやると驚いていたが、
私はそれを無視して消毒液をぶっかけ、テキパキと手当した。
これで大丈夫だ、と言う状態になったのを見て、私は一人頷くと立ち上がる。

少々身ぎれいにし過ぎたかもしれないと、
散々撫で繰り回してやると、二人とも目を白黒させていた。
子供は二人ともある程度身なりを整えると妙な育ちの良さが出ていたので、
この島では悪目立ちするかもと思ったのだ。

しかしいつまでも子供らに構っている訳にはいかない、
ここは一体どこなのか、調べなくてはならない。
本屋があればそれに越した事はないが、町までは遠そうだ。
移動が面倒だな、と息を吐く。

「ま、まって!」

弟の方が歩き出そうとした私を呼び止めた。半分泣きそうな声だった。

「お姉さん、医者なんでしょ!?」
「おい、ロシー!」

兄の方が慌てたように弟の袖を引く。

「母上が死にそうなんだ・・・!助けて・・・!」



子供二人に袖を引かれ、案内されたあばら屋には父親と思しき人間が横たわる女性の手を握っていた。
子供が私を連れて来たのを見て驚いている。

「あの、君は、一体・・・?」
「私は医者。あなた、この子たちの父親であってる?」
「ああ。そうだが、」

私は周囲を見渡した。衛生的とはとても言えない家だった。

「ちょっと模様替えするけどいい?」

返事を待たずに私は能力を発動する。
散らかっていたゴミや、汚れだけを浮かし、外に出す。

3人は唖然としていた。

「君は、魔法使いかなにか?」
「は?・・・悪魔の実の能力者だよ。奥さん診療しても構わない?」
「・・・実は持ち合わせがなくて、薬や診療の対価を支払うことが出来ないんだ」

父親は恥じ入るような仕草を見せる。私は大きくため息を吐いた。

「期待してないよそんなの」
「いや、それは・・・」
「診て欲しいの?欲しくないの?」
「本当に、良いのかい・・・?すまない・・・!」

父親の目から涙が零れた。

母親はろくな看病も受けられていないようだった。
やり方もよくわからないままがむしゃらに看病していたのだろうあの一家は。
衛生的な場所で、空気の良い場所で、薬を服用すればおそらく彼女は健康でいられるだろうに。
ひとまず私が部屋を掃除したので当面は問題ないだろうが、いかんせん立地が悪い。

そして私は流されるまま一家の面倒を見ているが、・・・流され過ぎだと思う。

「引っ越せれば良いんだけど。しっかしそれが出来れば苦労はないか」
「何ブツブツ言ってるんだえ?」

私が適当な樽に腰掛けていると兄弟二人が寄って来た。
弟の方は私にビビりながら声をあげる。

「あ、あの。・・・母上を、診てくれてありがとう」
「どういたしまして」

私が笑顔を作ってやると、弟の方はつられるように笑ってみせた。
兄の方は黙り込んで私を値踏みしているようだった。

「あなた人に親切にされて”ありがとう”も言えないの?弟はお礼言えるのにね?」
「・・・ありがとう」

ぶすくれた顔で渋々礼を言った。
薄々勘づいていたがコイツ、クソガキだな・・・?

「ねえ、お名前、何て言うの?」
「トラファルガー・。君らは?」
「ロシナンテ」

ん?ちょっとまてよ。ロシナンテって言ったか?弟。
迫害を受ける金髪の兄弟、どこかで聞いたような。
・・・そう言えば面影っぽいものが見えるような気がする。

私が兄のほうに目を向けると、むっつりとした顔で声を上げた。

「ドンキホーテ・ドフラミンゴ」

私は卒倒しなかった自分を褒めてやりたかった。
・・・うそでしょ!?
そういや私を移動させたあの女、Time Travelとか言ってたが、
まさか本当に”時間旅行”したとでもいうのだろうか。
頭を抱えた私をドンキホーテ兄弟が不思議そうに見ている。移動する様子もない。

「ところで君ら何してんの?」
「お前が母上に妙なマネしないか見張ってる」

ドフラミンゴは私を睨んでそう言った。
私は今後の方針を決めるために彼らの父親、ホーミングから地図をぶんどり、
眺めていただけだと言うのに。

「君、ほんとに可愛くないなぁ」
「なんだと・・・!?場所が場所なら無礼打ちだぞ!
 なんて生意気な口の利き方をするんだえ!?お前、女のくせに!」

何が気に触ったのかぷりぷり怒り出したドフラミンゴをわざとらしく見下ろしてやる。
見下し過ぎて逆に見上げる一歩手前のポーズだ。

「ほー?君の大事なお母さんを診察してやった
 凄腕美人女医のトラファルガー・様に
 よりによって生意気って言った?ドフラミンゴ君?ええ?」

ドフラミンゴは少し怯んだようだが若干の呆れを滲ませてぼそりと言った。

「・・・こいつ美人女医って自分で言ったえ」
「あ、兄上、それ多分言っちゃダメなやつ・・・!」

二人してひそひそやり出した。こう見ると結構仲良しな兄弟だったのか。
私は何とも言えない気分になりながら頬杖をついた。
とりあえず、ドフラミンゴはあとで拳骨ぐりぐりの刑。



今後の方針を固めるべく、私はホーミングと簡単に面談する事にした。
奥方の具合と、ドンキホーテ一家のこの先についてが議題になるだろう。
本当は私みたいな通りすがりの人間が彼らの現状に口を出すのはおかしいのだろうが、
いかんせん放っておけない気持ちになっていたのだ。

子供達を追い出して私はホーミングに向き直る。

「私は医者だから、一度請け負った患者からはできる限り
 手を引かないようにしてるんだけど、・・・まず聞くけど、治す気はあるんだよね?」
「もちろん・・・!」
「いつからか知らないけど、ここ最近は医者にかかった様子もなかった。
 理由は手持ちが無いから?」

ホーミングは頷いた。

「お宅の奥さん、身体がもともとそんなに強くないでしょう。
 不衛生な家で暮らし続けたらこうなるよ。ここ、空気が悪いしね。
 空気の綺麗な場所で静養しながら栄養のあるものを食べれば、奥さんは治ると思うよ」
「・・・そんな、」

私の言葉に、ホーミングは狼狽えていた。
恐らく、それが出来れば苦労は無いとでも言いたいのだろう。

「いや、働けよ」
「え・・・!?」
「あなた達一家と接してると妙に、何て言うんだろ、
 ”指示待ち”というか、”やってもらう”のに慣れてる感が凄い伝わってくる。
 没落した貴族か何か?どうでも良いけど」

ホーミングは私の態度に観念したように今までの経緯を説明しはじめた。
その経緯と言うのが突っ込みどころが多過ぎて、私はまた頭を抱えていた。

「あのさァ、まず世界政府非加盟国に連れてこられた時点で怪しむべきだろ。
 王族や貴族の居ない世界政府加盟国は幾らでもあるよね?」

「そ、そう言えば」

「・・・つまりあなたは自分が周りにどう思われてるのか客観出来なかったんだね?
 ”自分は”奴隷をもたない。虐待をしない。
 だから他の天竜人とは違うし、違う扱いをうけてしかるべきだと。
 ・・・それ人間宣言しつつも結局特別扱いしろって言ってる時点でダメな奴だよ。
 あと薄汚れてるけど、あなた達、格好自体は当時のままだな?変えろ。
 手っ取り早くお金を作るなら、奥さんの髪でも売ることだけど」

「なんてことを君は・・・!」
「それが嫌なら自分の時間を売りなさいよ!」
 
私が声を荒げるとホーミングは萎縮した。私は息を吐く。
だがふつふつと沸き上がる苛立ちは抑えきれなかった。

「逃げ続けるにも限界あるでしょ?考えなさいよ自分の頭で。
 どこかで現実と向き直らないと死ぬ。あなた”父親”なんでしょうが」

私の父親はずっと、患者を見続けていた。自分が死ぬまで命を救おうと邁進していた。
自身も珀鉛病に冒されながら、それでもなお目の前の患者を治そうと、力を尽くしていた。
私やローはその背中を見て育った。

「あなたの息子が言われのない暴力にさらされてるのが誰のせいか、
 分かってるなら自分を変えなさいよ、・・・家族のために」
「・・・トラファルガー先生、分からないんだ。どうすれば良いのか」

ホーミングは頭を抱える。
私は息を吐く。仕方が無い。乗りかかった船だ。

「今まで考えたこともやったこともなかったなら、
 いきなりやれって言っても無理か。分かった」

どうせ私も帰れそうに無いし、ドアの影からこそこそと聞き耳立ててる兄弟に、
私はかつて命を救われている。

ふと、ここで彼らを助けたら私やローの運命も変わるのかもしれないと、思ったが、
運命はそう変わらないから運命なのだ。
だったら好き勝手やろう、と開き直った。

「まず作戦を練ろう。話はそれからだ」



ドフラミンゴに手を差し伸べたのは変な女だった。

掃き溜めに似合わない綺麗な格好をしていた。
ごろつきをぶちのめし、医者だと名乗った女はドフラミンゴと弟、母や、父すらも、
助けようとしているようだった。

は薬草の手入れをしている。

最初着ていた羽のコートやハートのピアス、フラミンゴのチョーカーが無くなっている。
洗練された形の靴はスニーカーに変わった。
驚く程身軽になったはどういう訳か豪奢な服に身を包まれているときよりも生き生きとしていた。

服やアクセサリーを売払い、金に変え、は母に綺麗な食べ物を買ってきた。
が来てから父も少し変わった。
金の工面を率先するようになった。
髪を切り、ヒゲを落とすと父は別人のように見えた。

、なんでお前はおれたちに親切にする?」

ドフラミンゴの問いかけには冗談めかして言った。

「無償の愛ってやつだよ」
「そんなもんあるわけないえ。何を企んでる!?」

ガラス玉のような目がドフラミンゴを射抜く。
ドフラミンゴはこの目が少し苦手だ。まるでなにもかも見通す、水晶玉のように見える。

「君、本当に疑り深いね。でも正解。そう隠しだてする理由はないけど」

は遠くを見つめている。

「私も昔、誰かに追われたり、疎まれる生活を送っていた。
 私には兄が居るんだけど、君らと同じ位の歳の頃、両親がひどい死に方をしてさ。
 兄妹そろってそんな目に遭ったもんだから、
 世界中が私と兄の死を願っているように思えて、抗うために
 兄と一緒になって、全部ぶっ壊してやろうって思ってた」

吐き捨てるように言われた言葉に、ドフラミンゴは息を飲む。
は明るく、・・・優しく、その身なりからも恵まれた環境に居たのだと思っていたのだ。
しかしそうではなかったらしい。
そう言えば、ごろつきを打ちのめしたに、ためらいは無かった。

「でも、ある人たちが助けてくれた。1人は私と兄に、生きる為の術を教えてくれた。
 もう1人は、私と兄にがむしゃらに心を砕いてくれた。
 ・・・2人とも割とどうしようも無い大人だったけど」

は小さく笑う。

「私は神様に愛されてるわけじゃ無いから時々散々な目にあったけど、
 そんな時に手を引いてくれた人がいたってことに関してだけ、少しは恵まれてるかなって思ってね。
 君らにもそんな奴が居れば良いなって思ったから助けた。それだけだよ」
「・・・」

嘘を吐いている様子は無い。ドフラミンゴを見る、その眼差しは優しい。
だが不快だ。
その目はドフラミンゴの中に、何かを重ねて見ている。ここではないどこかを見ている。
はドフラミンゴにニィと笑って見せた。

「そう言えば君、お兄ちゃんだからって弟の面倒見てきたんでしょう?
 今迄頑張ってきた分ご褒美くらいあっていいと思うよ」
「ご褒美、」

はポケットを探りながら言う。

「君のお父さんは確かに考えが甘かったけどさ、・・・誰かをぶっ殺したりいじめたりして
 喜んでる馬鹿よりはよほどマシだと思う」

ドフラミンゴの内心にあった父への不信を、は見抜いていたらしい。
ドフラミンゴの頭を撫でて眼差しを和らげる。

「でも、キツかったよね。ドフィ。本当によく頑張ったね」

が包み紙から飴玉を取り出し、ドフラミンゴの口に放り込んだ。
久しく感じていなかった感覚が口いっぱいに広がる。
甘い。
目の奥の芯が熱くなっていく。

「なに?泣くほど美味しい?」
「・・・うるさいえ!」

は小さく笑って薬草の手入れに戻る。
ドフラミンゴはサングラスをとり涙をぬぐった。


「んー?」
「この飴、まだあるなら、ロシーにも、」
「ふふっ」

はとても嬉しそうだった。
ガラス玉みたいな目がキラキラしていた。

「いい子だね、ドフィ」

撫でられて唇が引き結ばれる。

 子ども扱いは嫌いだ。



「おい、
「どうしたドフィ」
「おれが大きくなったら第一夫人にしてやるえ、覚えとけ」
「ええ!?」

ロシナンテに読み書きを教えていたに宣言するとロシナンテはびっくりしていた。
はちょっと目を丸くしたが、やがてため息をついた。

「いきなり何?マセたこと言って。変なもん食べた?
 拾い食いは見極めが肝心だとあれほど・・・」
「食中毒じゃないえ。お前散々おれを馬鹿にしやがって・・・。一生かけて倍返ししてやる」
「兄上そんな理由で・・・!?」

から勉強や簡単な護身術を教わるようになったが、
は間違えるとドフラミンゴを馬鹿にした。

『へぇ?こんなんも分かんないの?』『読解力ないの?・・・頑張れ』
『はい、ケアレスミス。注意力散漫。ドジッ子予備軍』『単純バカは扱いやすくて助かるよ』

言いたい放題だ。ロシナンテには割合甘い癖して。

はドフラミンゴにへぇと気のない返事をよこした。

「そりゃありがたいね。でもいくつ歳が離れてると思ってんの?
 君が大人になったらおばさんだよ私は。
 おばさんいじめるより綺麗な若い女子にチヤホヤされる方が楽しいでしょうよ、多分」

の言葉にドフラミンゴは首をふった。

「何を楽しいと思うのかはおれが決める」
「ふーん?」

面白がるような目をしては頬杖をつく。
もう片方の手で頭を撫でられた。

「ガキの癖にカッコいいこと言うじゃないの」
「・・・ガキ扱いするな」
「そういうとこがガキだって!あははッ」

は驚く程鮮やかに笑う。
でもその目はここではないどこかを見ている。
気に入らない。
ドフラミンゴは内心で歯噛みする。

 おれの中に何を見てる?おれを通して誰を見てる?
 ここに居る、おれを、見て欲しいのに。

「まあ、期待しないでおいてあげるよ、ドフィ王子様?」

 そうやって甘く見てたことを後悔させてやる。

ドフラミンゴは頭を撫でるを睨みつけたのだった。