一期一会の友誼をほどく

任務の打ち合わせ前の稽古と床掃除を終えて、
煉獄杏寿郎はかねてから継子、に思っていた疑問を口にする。

「ところで君、呼吸を覚えずに選別を受けるとは随分な無茶だぞ。
 今でこそ基礎体力は充分だが!」

は藤の山の選別に呼吸を覚えず参加した特異な人物であった。

通常最低限の呼吸を身につけることが参加の条件なのだが、
は宇髄天元から特別にと推薦を受けて、
呼吸を覚えぬまま試験に臨み、合格しているのだ。

これは稀有どころの騒ぎでなく、後にも先にもの他に例がないことである。

しかし当のはけろりとした顔で杏寿郎に笑って返した。

「呼吸覚えると疲れにくくなりますよね。
 うーん、でも俺、昔から体力だけはあったかも」
「槍術の稽古で身につけたのか?」

はもともと槍に精通している。
呼吸と併用すると慣れないせいか精度が落ちるが、
槍のみの技術に言うことはない。

どういう稽古をしていたのかは杏寿郎としても気になるところだ。
しかしの口にしたのは思いもよらないことだった。

「あとは学生時代の鬼ごっこかな」
「……鬼ごっこ?」

不思議そうに首を傾げた杏寿郎にが軽薄な調子で言う。

「この性分ですから、けっこう同輩先輩から嫌われたんですよね〜。
 学校行ったら授業以外はだいたい柄の悪い連中に追いかけまわされてたんです。
 最低最悪の鬼ごっこでした。あっはっはっ!」

冗談のような物言いだが間違いなく事実であると察知し、杏寿郎は返す刀で問い詰める。

「学生だろう! 勉強はどうした!」

「俺は絶対にすっぽかしたくなかったんで、意地でも普通に授業受けてたけど
 他の連中は疲れ果てて授業中寝てたりしてたっぽいですね!
 いや〜ほんっとうに馬鹿でしょ?」

そういうことを歯に衣着せず平気で口にするから
敵が多かったのだろうな、と杏寿郎は妙に腑に落ちていた。

「そういうわけで逃げるのに頭使ったり持久力ついたりで
 今思うと鍛錬になってたのかもしれません」

笑い事だと言わんばかりのに杏寿郎は頷いた。

「なんにせよ、今に活きているのなら良いことだ!」

「でも学校楽しかったですよ。気の合う奴も居ましたし」
「何!?」

の発言から、てっきり敵ばかり作って友人の一人もいない
灰色の青春を勝手に想像していた杏寿郎はごくりと唾を飲み込んで尋ねる。

……! 君、友達が居たのか……!?」

「なんで今日一番の驚きみたいな顔してるんです!?
 俺に友人が居てなんかおかしいですか?!」

心外極まりないと言わんばかりには杏寿郎に文句を言った。
それからやれやれと腕を組んで嘆息する。

「言っときますけど、俺は結構普通の学生生活送ってますからね」
「普通の学生は先輩同輩に追いかけられたりしないと思う!!」
「そこ以外は普通です!」

当たり前の指摘を受け入れつつは即答する。
が、自分で言っておいて大口だったかもしれない気持ちになったらしい。

「まあ言っても友人が多いかと言うとそうでもないですけど。
 特に気が合ったのは医者の息子繋がりで二人程ですし。
 でもこういうの人数じゃないでしょ。
 多けりゃいいってもんじゃないですって本当」

言い訳めいたことを言い出したので杏寿郎は適当に流した。

「なるほど貴重な友人なのだな! 大事にするといい!」
「そうですね」

淡々とが返したのを見て、杏寿郎は地図を板張りの床に広げる。

「さて本題に入ろうか! 次の任務先は本郷!!」
「……俺の地元の近くだな」

ビシッと杏寿郎が指さした地図にはいくつか印が付けられている。
はその印がかつての自宅のすぐそばに点在していることに気づいて渋い顔をした。

「うむ。ぜひとも君の土地鑑を活かしてほしい!
 現在本郷本富士では学生ばかりが行方不明になっているうえ、
 不審人物の目撃談が相次いでいるとの情報があった!」

曰く、その不審人物というのは美しい女なのだというが、
目撃した相手はその顔や身なりの特徴を覚えておらず、
ただ、何か問いかけられたことだけ覚えているのだと言う。

「その問いに対して、答えを返せなかった者は難を逃れることもあるようだ!」

杏寿郎の言葉には眉を上げた。

「喰う人間を選り好みしてるってことですか? 
 行方不明になっている学生に共通項は?」

「みな男子だ。とりわけ頭脳明晰な学生ばかりらしい。
 性別は格好でわかるからともかく、頭の出来は問答で判断しているのではなかろうか」
「……なるほど」

は口元に手をやって考えるそぶりを見せる。杏寿郎はさらに続けた。

「ちょうど新しく仕立てたマントを着ると、君はまさしく学生のようだし、
 鬼との遭遇率も上がるのではと思う!」

縫製係のゲスメガネこと前田まさおに仕立てさせた
マントと学帽はつい先日届いたところだ。
がそれはもうしつこく口を出した甲斐あって見事な出来だった。

杏寿郎の言葉に明は意地悪く目を細めてニヤリと笑う。

「まあ俺は囮にちょうどいいですよね。
 その鬼の好みからして煉獄さんは選ばれないけど、俺はお目にかなうだろうし」

――それは暗に馬鹿呼ばわりしているのではなかろうか。

の軽口に杏寿郎はムッと口を開いた。

「どういう意味だ!!!」
「あはははは!」

は友人がいないと邪推された仕返しだと笑った。

「別に煉獄さんがアホとか言いたいわけではないですよ。
 鍛えてる筋肉が違うって話です」

そう言って手をひらひら振るは、どうやら鬼の好む人間の基準を、
早速、より精密に割り出しているように見える。

杏寿郎はにジト目を向けつつ、
次の任務ではお手並み拝見といこう、と決めたのである。



本郷区 本郷本富士町。

その日の夜、学生・矢島宗光は寮への道を一人歩んでいるところだった。

先輩の誘いで学生寮を抜け出し、旅館の一室を借りて宴会をする話に乗ったはいいが、
酒とやたらと浮ついた雰囲気に気分が悪くなり、抜けたのが少し前のことだ。

夜風は肌に心地よい。

もう10分も歩けばやっと寮に着く、と思ったところで、
宗光は通り過ぎようとした街灯の下、つつじの花の生垣の前に、
艶やかな赤い着物を着た女が立っていることに気がついた。

金色の髪に青い目の、人目を引く容姿の女である。
女は不安そうに、宗光に声をかけた。

「もし、学生さん、」
「なんでしょう?」

「ーーーーー」

宗光はその女が恐る恐るといった調子で囁いた言葉にハッと訊ね返した。

「あなた、具合が悪いんですか?」

女はほっと安堵したように、宗光に向けて微笑んだ。
ゆるりとした所作で腕を広げる。

それから――信じ難いことが起きた。

女の体の真中に、着物の上からすっと一筋切れ目が入ったかと思うと、
音もなく、裂けるように“開いた”のだ。
どこか開腹手術を思わせる動きであった。

裂け目には縦に不揃いの牙が並ぶ。
奥から覗く紅色の舌が街灯の明かりにてらてら光った。
呆気にとられる宗光へ、女が抱きつくように迫った瞬間。

女の、首から上が無くなった。

「え?……え?!」

どしゃ、と鈍い音を立てて女の体が倒れる。
いつの間に現れた槍を手に持った男が宗光の前に、黒いマントを翻して立っている。

宗光はここ数分で起きた出来事に頭がついていかず、混乱していた。

そしてその混乱した頭で目の前の男を見て、導き出した一つの疑問がある。

学帽に押し込められた短髪、手に持つ十文字の槍。

振り返ればきっと確信できるのに、
こちらを決して見ようとはせず、宗光の視界を遮るように
塵になった女を眺めている背中には、けれど確かに見覚えがあった。

「お前……、か?」

――槍で女の首を刎ねた男は、かつての学友ではないか。

しかし、槍の男は宗光を肩越しに一瞥すると、
被っていた学帽を目深にかぶり直して首を横に振った。

「人違いだと思いますよ」



巡回警備中、鬼と思しき女が学生に声をかけているのを視界に入れた瞬間、
杏寿郎の前にいたが一も二もなく駆け出して、
あっという間に女鬼の首を刎ね飛ばした。

杏寿郎は驚き、先手を取られたと思いつつも
そのまま後を追いかけ、襲われかけた学生に声をかける。

「君、大丈夫か!」
「お、俺は平気です。彼が、化け物から、守ってくれた」

駆け寄る最中、が学生に「人違いだ」と言ったのも聞いていた。

学生はの顔を不審そうに見やって半信半疑の様子だ。
は杏寿郎に顔を向ける。

「煉獄さん、彼は帝大の学生です。
 寮はすぐそこですから、隠を待つこともない。
 送っていきましょう。俺が先導します」

常よりもやや低い声に聞こえた。まるで「何も言うな」と言うように。
どうも訳ありであると悟った杏寿郎はに無言で頷いた。

寮まではを先頭に杏寿郎と、矢島宗光と名乗った学生が横並びに歩く。
宗光は恐る恐る、の倒した怪物の正体を尋ねた。
無言を通すつもりらしいに代わって杏寿郎が「あれは鬼だ」と答える。

「藤の花の匂いを嫌うので夜間出歩く際は匂い袋等を持つといい!
 俺たちは鬼を討伐するために鬼避けを持ち歩いてはいないのだ!
 渡せずにすまない!」

対策も教えると、宗光は口元に指を当て、それから俯いて首を横に振る。

「にわかに信じがたいが、しかしあなた方が言うならあれは、鬼、なのだろう。
 ……すまない。まだ混乱していて、」

宗光はガリガリと頭を掻きむしった。
自分が見たものを処理しきれずに困惑しているのだ。

「それはそうだとも! 何が何だかわからんので当然だと思う!」

杏寿郎に頷いて、宗光は自身の心を整理するように、ポツポツと語り出した。

「あの鬼、……俺は最初、外国から来た女性だと思ったんです。
 見目もそうだがどうもおろおろしていたし、なにより『Heil mich』と言ったから、
 日本に来てまだ間もなく、体調を崩して不安なのかと……」

の退治した鬼は金髪碧眼、長身の女の姿をしていた。
鬼に遭って難を逃れた人間が言っていた「問いかけ」というのは
外国語のことだったのか、と杏寿郎は納得する。

「どのような意味の言葉だったのだろうか?」
「ドイツ語で『私を治して』です」
「なるほど!」

が「杏寿郎は鬼に選ばれないだろう」と言ったのは、
外国語を使って鬼が学生を選別していることを、薄々悟っていたからだろう。

帝大医学部は現在ドイツ人講師を招いて授業をすると言うから、
ドイツ語は医学生の必修科目でもあるし、医学部は学習意欲の高い学生を集めて当然だ。

案外最初から、鬼が狙うのが医学生だと見当がついていたのかもしれないと、
杏寿郎は先を行くに目を向ける。

――それにしても、いつもはよく喋る男が嫌におとなしい。

「着きましたよ」

寮門の前に立って、明は静かに呟いた。



宗光は、何度か迷ってから、
槍の男に念を押すように尋ねる。

「なぁ、本当に、……じゃないのか?」
「学生さん」

問いかけを一方的に断ち切るように槍の男は宗光を呼ぶ。

「ご自愛下さい。さようなら」

別れを言った声色は、記憶の声より柔らかく、そしてどこか、もの悲しい。

宗光が追求する間も無く早々に、隊士二人は立ち去った。

置いていかれた宗光は今起きたことが夢だと言われてもおかしくはないとも思いつつ、
起きたら藤の香を買いに行こうと決めたのだ。

たとえこれが夢だったとして、
友人が自分を守ってくれると勧めたものなら、
手に入れて験担ぎするのも悪くはないと。



帝国大学の寮を離れしばらく経った頃、
は巡回の最中にも関わらず、ピタリと足を止めた。

杏寿郎が振り返ってみればは顔面蒼白である。
思わず声をかけようと杏寿郎が口を開くより先、の声が轟いた。

「あーーーッ!!! もう!!! 焦ったーーーッ!!!」

大音量である。

なるほど周囲を気遣って開けた場所で叫ぶ分別はあったらしい。
代わりに杏寿郎の耳は今かなり痛いが。

「なんで宗光あの馬鹿こんな夜更けに出歩いてんだ
 行方不明者バンバン出てんだろうが筋金入りのボンボンの癖に
 危機感が昔っから欠けてるんだお前は何一丁前に寮を抜け出してんだよ
 夜遊びすんな不良学生め酒臭えぞ飲む暇あるなら勉ッ強ッしろッ!!!」

立板に水を流すような息継ぎなしでの罵倒だ。
地団駄を踏んだ後はへなへなと槍にすがるようにしてしゃがみこみ、
は深々と息を吐いた。

「……ここ数年で一番肝が冷えた。
 煉獄さん、適当にあいつと話してくれてありがとうございました」

その言いように、杏寿郎はに問う。

「やはり彼は、君の」
「学生時代の友人です」

あっさりと肯定したはそれまでと打って変わって喋り出した。

「あいつ覚えもいいし器用なんですけど、運が無いんですよねぇ。
 試験の時に熱出したりとか。今日だって鬼に出くわしたり。
 でも助かってるし悪運は強いのか……」

!!」
「はい、なんでしょう?」

杏寿郎は延々続きそうなの愚痴を遮り、
グッと拳を握って勢い込む。

「今回の君は俺が見た中で、一番の働きぶりだった!!」

突然褒められ瞬いているをよそに、
杏寿郎は腕を組み、の行動を思い返しては何度も頷く。

「何しろ柱の俺が先手を許したほどだ! まさしく迅速果断!
 犠牲を出さない鬼殺には、やはり機敏であることが欠かせない!」

被害を被ろうとしている者との間に割って入り、素早く鬼の首を一刀両断。
誰の犠牲も出さない即断即決。
これこそ鬼殺隊士としてあるべき姿。望ましい成果である。

それを悪癖に苦しむという男がとった、という事実が素晴らしい。
何故ならば。

「俺に任せておけば、君が彼の前に、姿を現す必要もなかっただろうにな!」
「あ。」

はポカンと口を開いた。

杏寿郎に斬首を任せ、対応を隠に預ければ
は矢島宗光と接触せずに済んだ。

「あー……! ホントだ。今言われて気づきました。
 そうだよ。煉獄さんに任せておけばわざわざ宗光の前に出ることなかったよ。
 何をやってんだ俺は……」

は槍の柄に頭を預けるようにうなだれたが、
それを杏寿郎は高らかに笑い飛ばした。

「はっはっは! 咄嗟の時にこそ、君という人間があぶり出されるものだ!  
 それだけ大事だったのだろう、彼が」

の行動は必死だった。
矢島宗光を助けるためにがむしゃらに動いた。
そこに愉しむ余地など髪一筋もなかったのだ。

つまり、今回の行動は、には悪癖に打ち勝つ素養があるという証明に他ならない。

杏寿郎はだからこそ、と諭すように続ける。

「自ら縁を絶つような真似は感心しないな。
 今からでも挨拶に戻ればどうだ? 彼も君の正体を、半信半疑のようだった、」

「煉獄さん」

しかしは立ち上がって、杏寿郎の提案を退けるように、首を横に振った。

「俺多分、ろくな死に方しないと思うんです」
「急に何の話だ」

唐突な言い分ながら、は真剣そのものだ。
首の後ろを撫でたのち、伏せた目のまま、静かに言う。

「というか、鬼殺隊入った皆さん承知のことだと思うんですけど。
 畳の上で死ねる人間の方が少ないでしょう、隊士になったら」
「……うむ、」

「宗光は、俺の友人らは医者見習いとはいえまだ学生だ。
 親しくしてた人間の、五体満足かどうかも怪しい亡骸なんか、見るもんじゃないでしょ。
 それどころか遺体が残らないこともあるんだから」

が何を懸念していたのか、杏寿郎にも察しがついた。
 
「俺が懇意にしてた人たちに『鬼に殺されて息子が死んだ』なんて説明を、
 父にさせるのはあんまりだ。
 これまで鬼の存在を知らなかった人間に納得してもらうのには時間がかかる。
 かといって嘘を吐かせるのも決まり悪い」

鬼の存在を知るものは少ない。
実際にその目で見ない限り、大抵は鬼の存在を信じない。
そういう相手に説明を迫られる父親のことも、は不憫に思ったのだろう。

「俺の葬式には、誰も来なくていいんです。
 賑々しくやる必要もないし、
 せいぜい突然連絡を絶った薄情な奴だったな、
 くらいに思われてた方がずっといいです」

は友人らが大事だったからこそ、遠ざけた。
自分が死んだら遺族となる父親のためにも。

「とか思ってたんですが、唯一槍の師範には見抜かれまして」

それまで淡々と述べていた声が急に冗談めかしたものに変わった。

「宝田師範、あのクソジジイ……。
 通夜振る舞いで出すのは上野にある料亭の
 精進料理にしろとか注文つけてきやがって。
 『明峰先生の喋り相手は引き受けてやるゆえ、酒と飯くらい豪勢に頼むわぁ』とか
 いけしゃあしゃあと言うんですよ。
 順番から言うと俺が師範の葬式で香典叩きつける方が先だっつーんだよ、
 生臭ジジイめ。憎たらしいでしょう?!」

「うん。……いやすごい会話をしているな君たちは!」

あまりの勢いについ頷いてしまった杏寿郎である。
の会話に登場する槍の師範の老人は随分と破戒的であるらしい。

は常の通りに笑うばかりだ。

「アハハ! 話は逸れましたが。
 もうあの爺さん一人いたら賑やかしには充分ですから。
 身辺整理をしたんです」

ふっと笑みを拭い去り、能面のような顔で口を開く。

「だから俺はかつての友人に挨拶はしません。必要ない」

は冷たく言った。

その頑なな言い分に杏寿郎は複雑な面持ちで唇を引き結ぶが、
すぐには声音を和らげる。

「にしても宗光の奴、あの身なりだと大学にも入れたみたいで良かった!
 長生きして立派な医者になってもらわないと困ります」

友人の進学を喜ぶ様に嘘もなければ陰りもなく、はニコニコと笑っている。

杏寿郎は腕を組み首を傾げて、友情を諦めた男を眺めた。

「君は難儀な男だな!」
「あっはっは。お気づきですか」

「自分でも結構面倒な奴だと思いまーす」と
続けて笑うの声はやたらと滑稽に響いたが、
杏寿郎にはなんとなく寂しげなようにも聞こえて目を伏せる。

隊士の二人はきびすを返し、夜の帝都を闊歩する。
人喰い鬼から人を守るため、見えぬ何かを犠牲としながら。