片影
その日、冨岡義勇は鎹鴉が運んできた手紙を受け取った。
差出人は産屋敷耀哉。鬼殺隊の長である。
普段は鎹鴉が義勇に口頭で任務を伝えるから、
これは特務であると察して背筋を伸ばし、粛々と文字を目で追った。
しばらくして気づく。
驚くべきことに、継子をとっての監督指導の依頼である。
義勇は誰が見ているわけでもないが眉間にシワを作った。
嫌悪というより困惑が勝っての顔だ。
それでも一応最後まで読んでから返事を出さねばなるまいと、
読み続けるうちに“その男”の選別での成果に触れて、
小さく、感嘆のため息をこぼした。
開け放たれた襖から見える廊下、
磨かれた板張りの床に、庭から差し込む光とともに植木の緑が反射する。
さざなみのような葉の擦れる音を聞きながら、
義勇は耀哉へ返信するため、筆をとった。
※
産屋敷の邸宅はいつ来ても季節の花が出迎えてくれる。
水柱・冨岡義勇が産屋敷耀哉から継子を取るように打診されたのは、
その年の選別が終わって間も無くのこと。
義勇は耀哉への返信に直接会って尋ねたい旨を書いて、
このように面談の日時が設けられた。
継子候補の名前は。
最終選別で常人離れした行動をとった男である。
怪我人を処置しながらも山に居るほとんどの鬼を討伐し、
その上本人はほぼ無傷だったという、傑出した成果を出したのだ。
紛れもない逸材だった。
そのような成果を上げたにもかかわらず、は呼吸を使えないのだという。
最終選別とは、通常育手の推薦を持って行われるが、何事にも例外がある。
水の呼吸に適性を示した明にはすぐに呼吸の指導が望まれた。
その指導者として耀哉が見込んだのが“水柱・冨岡義勇”だった。
「やあ、よく来たね、義勇」
義勇が案内を受けるまま部屋に入ると、産屋敷耀哉が座して迎えた。
微笑んではいるものの、火脹れのような病の痕がついに片目にまで達している。
半年毎の柱合会議を重ねるたびに耀哉の病状は悪化しているように思えた。
義勇は耀哉の向かいに座り、目を伏せて挨拶の言葉を口にする。
「この度はご多忙のところ面談の機会を設けていただきありがとうございます。
……お館様のご多幸とご健勝を切にお祈り申し上げます」
「ありがとう、義勇。
今回の件、私も手紙だけでは決められまいと思っていたところでね。
それに
できる限りそういう機会を設けたいと思っていたから、かしこまらなくても平気だよ」
耀哉は優しく目を細め、義勇を促すように頷いた。
それに導かれるまま口を開く。
「なぜ、俺を指導者にと望まれるのでしょう?」
義勇は剣士としては優秀であるが、指導者としての資質があるかどうかは定かでない。
鬼殺の際、階級が下の者と合同で任務に当たることはあるが、
その際特別優れた指示ができた、と言うこともない。
義勇本人としては与えられた任務を全うした。それだけである。
炎柱・煉獄杏寿郎、音柱・宇髄天元など、
柱の中には部下の扱いが巧みな人間もいるが、
義勇は自分がその手合いではないと自覚している。
また、義勇は鱗滝左近次のような優秀な指導者のことも知っているから、
余計に「なぜ自分が」と言う気持ちにもなった。
その疑念を、耀哉は見透かしたように微笑む。
「うん。確かに優秀な育手は沢山いるね。
彼らをさしおいて柱である義勇に指導を頼むのには理由がある。
は天性の才で選別を乗り越え、
素晴らしい成果を上げたけれど、重大な欠点があって……」
の選別の成果に非の打ち所はないように思えたが、そうではないのだと義勇は悟る。
耀哉がこうも歯切れ悪くものを言うのを、これまで見たことがなかったからだ。
「と接した選別参加者は、
最後には彼を畏怖して遠ざけるようになってしまったんだ」
告げられた言葉に、義勇は訝しんで眉を顰めた。
「は、救護に当たっていたのではないのですか」
救護された相手を畏怖し、遠ざけると言うのは普通のことではないように思える。
「そうだとも。命を助けられてなお、彼らはを恐れたんだよ。
まるでが鬼であるかのように」
耀哉の言葉選びからしても尋常のことではない。
選別に参加する人間は皆大なり小なり“鬼”に忌避感を持っている。
それを同じ人間、それも鬼を倒すと言う同じ目的を持った人間に向けるのは、
よほどのことがない限りありえないだろう。
義勇は耀哉を見つめた。
「には監督が必要だ。義勇。君には彼を導いてほしい。
義勇の指導を受けたなら、
もきっと、その性分を落ち着けるようになるはずだ」
確かな信頼と期待を示されて、義勇は自分の膝に目を向ける。
義勇は自分が水柱足る人間だとは思っていない。
自分のことさえ認められないのに他人の世話などできるわけがないと思っていた。
だからすぐに断りを入れるつもりだった。
たとえお館様直々の命令でも承服しかねると、
自分は人を指南できるような人間ではないのだからと。
けれど、手紙を読み進めるうちにの辿った選別の経緯を見て考えが揺らいだ。
そして今、耀哉と面と向かって話を聞いてなお、義勇は心を揺り動かされている。
それは耀哉の、不思議と人の心を落ち着かせる声色によるもの、だけではない。
の最終選別での振る舞いには、どうしてもかつての友人の面影が重なる。
――錆兎。
人を助け、多くの鬼を殺し、自らを犠牲に散ってしまった、
錆兎のような後輩が現れたのなら、他ならぬ義勇にしかできないことで、
その後輩の力になれるのなら、応えるべきではないかと思った。
――今度こそ。まだ未熟な自分でも、あの頃よりは。
義勇の脳裏にそんな淡く脆い期待がよぎった瞬間、
半ば衝動的に顔を上げ、口を開いていた。
「謹んで、承ります」
「ありがとう、義勇」
安堵したように微笑む耀哉の顔を見て、義勇は膝に置いた拳を握りしめる。
――もう、後には引けない。
引き受けたからには精一杯の指導をしようと誓う。
静かで揺れることのない瞳に、決意の光が灯ったようにも見えた。
※
水柱・冨岡義勇の邸宅を前に、男が一人立っている。
「こんにちは、こちら冨岡義勇様のご自宅で間違いないでしょうか?」
うららかな陽光が植木の間から差して、地面に複雑な陰影を描いた。
男の短く切った髪にも木漏れ日が落ちる。
「ああ」
出迎えて頷く義勇に、相対する男は人好きのする笑みを浮かべた。
「本日より水柱にお世話になります。です。
よろしくお願い申し上げます」
義勇は丁寧な所作で頭を下げたを見て、
見かけは錆兎と、あまり似ていないのだな、と思った。
ただし、佇まい足運びは確かに武芸者のそれだ。
これはかなりの手練だろう。
だというのに顔からは武芸に秀でた者特有の鋭さというものが感じられない。
異様に愛想が良い。一言で言えば優男に見える。
雰囲気は爽やかで明るいが、一方で確かな地力を感じる。
はちぐはぐな印象の男だった。
「入れ、ついてこい」
「はい、失礼します」
言葉少なに告げた義勇に、は特に気分を害した様子もなく、義勇の背を追いかけた。
※
義勇はとりあえずの持ってきた荷物を割り当てた部屋に置かせた。
邸宅の大体の作りを把握させてから稽古に入ろうと考えていた義勇である。
だが、ざっと案内し、台所まで来たところでの物言いが入る。
「あの、冨岡様。あなたこの家ほとんど住んでないでしょう。
道場以外全然使ってないですよね?」
磨かれたかまどを指差して言うに、義勇は首をかしげる。
全くの図星であった。
「なぜ?」
短く問うと、は「普通に見ればなんとなくわかる」と言う。
「道場は使い込んでて手入れが行き届いている感じがしましたけど、
他はがらんどうで手付かずじゃないですか。生活感がないんですよ」
さらには言葉の端に若干非難めいた色を乗せながら続ける。
「特にここ、台所に至ってはなんもない。
食えるもんときたら米しかない。あとは申し訳程度の味噌、醤油、塩……」
「漬物もある」
調味料を一つ一つ名指しで確認していくに、
義勇はこれを忘れてくれては困ると、かまどの横に備え付けてある棚、
米びつの陰に隠れていた壺をとってズイ、と差し出した。
は目を瞬いて、中身を見る。
「あ、本当ですね、壺漬けの梅だ。見落としてました。
……ほぼなにもないことに変わりないですけど?」
腕を組んで小首をかしげたに、義勇は何となく気まずくなって目をそらした。
「寝食は任務先で済ませることが多い」
は深々ため息を吐く。どうやら納得したらしい。
「まあそうなりますか。
隊士の業務は過酷で、まして柱は輪をかけて多忙と聞いてます」
そこまで言ってから、は改めて台所を見回す。
なぜか感心した様子である。
「しかしここ、建物自体はそこそこ年季がいってますけど、
そこが味になってるいい家ですよね。
すっからかんだけど台所のつくりは立派だ。
見事な池もあるし、ちょっと歩くと川もある」
「……歴代水柱が棲まう家だ。川は鍛錬にも使う」
義勇が答えると、は顎に手を当てて何やら考えるそぶりを見せた。
「へえ、じゃあ部屋が多いのは昔の柱が弟子をとっていた名残ですか。
冨岡様は俺が一人目の弟子ということですが。……ふむ」
それから振り返って微笑んだ。
にこやかだが有無を言わせぬ圧を感じて義勇は驚く。
「すみません冨岡様、稽古は明日からにしてもらっていいですか?」
「な……」
今度はなぜと問いかける間も無く、が先んじて答えた。
「ありとあらゆる生活用品が足りないので調達したいんですよ。特に台所関係」
義勇はぐうの音もでなかった。
前もって指導法などは自分の師範、鱗滝左近次に手紙を出して聞いていたが、
ひと一人を迎え入れるにあたり何を準備すべきか、などは
スコンと頭から抜けていたのである。
そして柱である義勇は今夜も当然警備巡回はしなくてはならず、
諸々買い出しに出かけさせるとなると、の稽古は明日に持ち越しにせざるを得ない。
義勇としては出鼻を挫かれた格好の初日であった。
※
翌日、義勇が警備巡回から帰ってくると台所に人が立っていることに気がついた。
継子をとったことを思い出して台所へと顔を出すと、
義勇の気配に気づいてか、紺染めの道着・袴姿のが振り返る。
「あ、お戻りですか、おかえりなさい。
……おはようございますの方が良いんですかね?」
「……どうでもいい」
任務あけで言葉を選ぶ余裕もなく素っ気なく答えた義勇である。
ただ、に動じた様子は全く無い。むしろ高らかに大笑していた。
「はっはっは、そうですか!
簡単なものですけど、朝飯できたところです。
腹に入れます? 行水と布団の準備も整ってますけど」
「……」
「あれ?
自分で言っといてなんですが嫁みてェなこと言ってますね、俺!
だはははは!」
朝からとてつもなくやかましいことを言われた気がする、と義勇は眉間にシワを刻む。
の冗談に付き合うのはなんとなく癪だったが、
空きっ腹に香る、味噌汁と焼いた川魚の匂いには抗いがたいものがあった。
義勇は短く「食べる」と言う。
「はい、かしこまりました」
はにこやかに頷くと、義勇に手を洗ってくるよう促して配膳の支度に戻った。
※
自宅と呼べる場所で人と食事をするのはいつぶりだろうか、と
義勇は向かい合うの顔を見て思う。
視線に気がついたのか、は顔を上げ、それからちょっと申し訳なさそうに眉を下げた。
「今更ですみませんが、冨岡様。
勝手に台所使っちゃったんですけど、よろしかったですか?」
「かまわない」
パッとの顔が明るくなった。
「そうですか! なら良かった!
あ。もしも使用人を雇ってるなら挨拶するべきかな〜と思うのですけど、
そういう人は居ないんですか?」
「通いで隠に手入れを頼んではいるが」
義勇が邸宅の管理を頼んでいる隠の顔を思い浮かべて言うと、
はうんうん、となにやら納得したように頷いている。
「なるほど〜! なら隠が来たときに挨拶しますね。
普段の家事雑事は俺の仕事ということで。承ります。
でもそういう人がいるのはありがたいなあ。
この家だだっ広いから、正直一人で手入れすんのは結構大変だと思ってたんですよ」
「……いや、別に」
これまでほぼ一人で生活をしてきたのだから
全ての雑用をがこなす必要はないと戸惑う義勇に、はひらひらと手を振った。
「ほらだって弟子は雑用も仕事のうちでしょ。
その辺は槍術の師範から多少仕込まれてますから一通りはできますよ。
とはいえ槍はもっぱら通いの稽古だったもんで、
至らないところもあるかと思います。
その辺はお手数ですが言ってくれれば覚えるし、やりますから」
「……」
本当によく口が回る男である。
このままでは食事に集中できず味噌汁も冷めていくばかりだと察して、
義勇は半分を無視する格好になる。
黙々と食いに走る合間、義勇はふと思った。
――はずっと喋っているが、食事をとれていないのでは?
しかしの膳を盗み見ると、なんと膳の半分は平らげている。
いつの間に、とに目をやれば、
ごくごく自然な所作で喋りながら食べるのを、見苦しくないように両立させていた。
――器用。
妙なところで感心する羽目になった義勇である。
その上義勇が喋らなくなってもは全く気にせず、一人で喋り続けていた。
「――呼吸の訓練というのはどんな感じなのか、全然想像つかないので楽しみです。
宇髄様はその辺基本はともかく流派によってまちまちだって言うんで、
そんなに詳しくは聞いてないのですが」
そのうちが気になることを言うので、義勇はしばらくぶりに口を開く。
「なぜそこで宇髄が出てくる」
「俺は宇髄様の推薦で選別に参加したんですよ」
自分で作った味噌汁の入った碗を傾けて満足げに頷いたは、
なんてこともないように説明を始めた。
なんでも、が鬼に襲われ格闘していたところに音柱・宇髄天元が現れ、
鬼を討ち取ったのだと言う。
「いや〜、宇髄様には世話になりっぱなしでして。
日輪刀の手配から選別の日程の連絡とか、
いろいろ手間をかけてもらいました」
義勇は食べながらの話を聞く。
「俺は槍を使うので、新しく作らなくちゃいけなかったみたいですしね。
皆さん刀を使うのが普通って聞きます。
槍使いに全く例がないわけじゃないとは聞きましたけど、」
日輪刀――槍の場合は日輪槍と呼ぶべきだろうか。
これを選別の前に用意させるのも特例である。
そして、の選別参加の経緯は異例、特例尽くしのものだったが、
それが押し通っていたことにようやく納得がいった。
現役の柱から推薦を受けて参加したのなら無理もない。
それなりに融通が利いたのも当然だ。
しかし義勇には一つ腑に落ちないことがある。
「……選別を受けさせる前に呼吸の指導者を斡旋しなかったのか、宇髄は」
仮にも柱なら、鬼殺において呼吸がほぼ必須のことであると理解しているはずだ。
それなのになぜ、と自然義勇の顔も険しくなる。
だが、はあっけらかんと言い放った。
「あ、多分それ、俺が『死にたい』って言ったからだと思います。
後腐れの無いようにですよ。多分」
義勇はあまりに明るく言われた言葉をすぐには飲み込めず、思考に空白が生まれる。
ハッと顔を上げて見てもの表情は和やかなものだった。
「なに……?」
「それで? 冨岡様、呼吸法の習得にはどういう稽古をするんでしょうか?」
は怪訝そうな目を向ける義勇に、にこにこと微笑むばかりである。
肝心なところで口が重いらしいと悟って、義勇は箸を置いて答えた。
「基礎体力を測った後、呼吸の基本を教える」
「はい。よろしくお願いします」
が、一筋縄でいかない男だと言うのを、
如実に感じた朝の出来事だった。
※
水柱邸、剣道場。
ようやく鍛錬らしい鍛錬に入って、義勇は竹刀を持ったまま一呼吸置いた後、
床に這いつくばっているに声をかける。
「お前、本当に素人か?」
「は?……えーと、冨岡様さァ、それ、いま聞きます?!」
意地でなんとか体を起こすものの、
床に辛うじて膝をついた格好のがやけくそ気味に言った。
呼吸法を口頭で指導し、体力の限界まで走らせたがいつまで経ってもバテないので
竹刀、竹槍での打ち合いに切り替えた。
その後結局がまともに立てなくなるまで打ちのめしたのでこの様である。
が、それでもは現段階で並の隊士に勝る地力を見せた。
義勇はなるほどと一人頷く。
基礎体力は言うに及ばず、槍の扱いは紛うことなく達人だ。
呼吸なしであればこのように地面に平伏すようなこともなかっただろう。
は慣れない呼吸に振り回されているところがあったと義勇は思う。
――選別の結果はやはりまぐれではなかった。
――呼吸を完璧に覚えれば頑強な隊士になるに違いない。
だが、は黙って己を見下ろす義勇に深々と息を吐くと、苛立ち混じりに質問に答えた。
「つい、このあいだまで、学生やってました。そういう意味で、聞いてるなら」
「そうか」
一つ気になるのは、呼吸を扱って体力が削られるにつれ、
の槍捌きが凶暴狡猾になっていったことだが、
槍術がそのような攻撃的な流派なのかもしれないと、義勇はひとまず指摘を避ける。
は短く悪態を吐いた。
「クッソ、まともに立てねえ……。冨岡様死ぬほど強い……」
「この程度で音を上げるな、軟弱が過ぎる」
「……承知」
は無理矢理に口角を引き上げて息と姿勢を整える。
「いくつか、確認させてください」
「なんだ」
「呼吸法、確かに便利だ。身体能力が飛躍的に向上してる実感があります。
いや、すっげえ心肺に負担かかってる感じするし、消耗するけど……」
は胸を押さえ、半笑いで後半は一人呟く。
それから真面目な顔を作って義勇に向き直った。
「冨岡様はこれ、どれくらい継続できますか?
完全に習得したとみなす目安は?」
義勇ははて、と目線を上に上げた。
――思えばいつの間にか、どれだけ保たせられるかを考えることさえなくなっていた。
「……把握していない」
「え?」
正直に答えた義勇に、はぽかんと口を開けて間抜けな顔になっている。
「呼吸法はの出来る限り、限界まで継続しろ」
「……ははぁ」
は感心した様子で義勇を見やった。
「なるほど。つまり冨岡様はこの呼吸法を文字通り『息をするように』
やってのけてると言うわけですね。わかりました」
細められた目は好戦的だ。
「俺もやってみます」
ニッ、と口角を上げて応えたに、義勇は無言で応じながらも確かな手応えを感じていた。
どれだけ打ちのめされてもへこたれず、厳しい鍛錬にも気持ちで負けないこと。
何事もこれが最初の一歩である。
※
のちに、この日を思い返して冨岡義勇は思うのだ。
「最初から、のことを自分は見誤っていたのだ」と。