実験

「明日から任務に出てもらう」

が冨岡義勇の継子となって六日。
水の呼吸の再現を初めて三日目に、
は義勇から鬼殺の任務に出ることを許された。

見取り稽古が終わってから淡々と通達された言葉に、は瞬く。

「まだ俺、水の呼吸は完全に習得できたとは言えませんけど」
「構わない。槍術に呼吸を乗せて任務に当たればいい」

義勇は目を伏せて続けた。

「戦力となる人間をいつまでも遊ばせているほど、余裕があるわけではないからな」
「それはそうでしょうけども」

とて、義勇の仕事ぶりからして、
鬼殺隊の置かれる状況が常に切迫しているとわかっている。

帰宅してすぐさま泥のように眠り込む義勇のことを思い出しては腕を組む。
義勇が優れた剣士であることに間違いないが、
その人が死力を尽くさざるを得ないほどに、鬼殺の任務は過酷なのだ。

「……冨岡様は本当によく働きますねぇ」
「そうでもない」

義勇本人はそう言うものの、柱が担当する警備巡回の地域はあまりに広い。
一般隊士も報告、経費等を書面にまとめて逐一提出の義務があるが、
鬼の討伐数が多いほど報告しなければいけない書類は膨大になるため柱の負担は増える一方。

給与にしても柱以外の隊士は階級ごとに一律であるため、特に書類を作る必要はないが、
柱に関しては「言い値」で給与が決まるので都度申請の手間がかかる。

それを知ったのはが稽古後、届いた手紙を義勇に手渡した時のことだった。



「失礼します。鱗滝左近次殿からお手紙が来てますけど……なんですかそれ?」

義勇の部屋に入るのが初めてだった
文机とその周辺の床に置かれた山のような紙の束を見て目を丸くする。
部屋の主人は一心不乱に筆を走らせているようだった。

「これは……、書類だ」

振り返り、見たままの答えを返す義勇の顔は心なしかうんざりして見える。

「はぁ、またえらく溜め込みましたねぇ」
「しばらくはこれに専念する」
「了解です。その間俺は自主鍛錬に努めますよ。……」

は手紙を渡した後、義勇から退室を促されたがその場にとどまり、
書類の整理と分類くらいはやらせて欲しいと申し出た。

「あの、捺印とか記入するのは冨岡様じゃなきゃできないですけど、
 とりあえず重要度が高そうなものを選り分ける作業は俺にもできると思います。
 なんか、この書類の山、あまりにも無秩序に見えますので、」

言いながら並べられた紙の束をしげしげと眺めるに、
義勇はやや考えるそぶりを見せるが、やがて問題ないと思ったらしい。

「頼む。助かる」

と、素直にに頼った。

書類を片付ける義勇を横目には書類を分類していく。
積まれていたのは「警備地区内にある鬼が関係していそうな事件の概要」
「印のつけられた地図」などが多い。
すでに討伐が済んだ鬼に関する資料と思しきものは日付を確認して古い順に床へ並べる。

「討伐済み案件の資料は保管しますか?」
「する」
「ああ、本棚の部屋がありましたね、そう言えば。後で運んどきます」

が初日に案内された水柱邸には本棚で埋まった部屋があった。
膨大な本は義勇の私物だと思っていただが、
あれは資料保管庫だったのか、と今更に納得する。

「こういう情報整理と資料保管も柱の仕事なんですね。
 勝手に産屋敷の方々が全部回してるものと思っておりましたが」

「お館様がさばき切れない一部を柱が担当しているだけだ」

「お館様は病身に鞭を打ってさらに膨大な量の仕事をしている」と
義勇はもの憂うように言った。

「こちらに上がってくる情報の中には稀に鬼が関わっていないものもある。
 そういう、鬼がいるのかいないのか曖昧な案件は下の階級の隊士に回す。
 柱が動くのは確実に相手が鬼だと分かってからだ」

「なるほど。ありがとうございました」

質問するたび律儀に手を止める義勇に、
これ以上口を挟むと邪魔になりそうだ、と
黙ってテキパキと書類を見比べる。

しばらく集中して半分ほど片付けたあたりのことだった。

ふと、赤い色が目に入って、は紙を振り分ける手を止めた。

目に止まったのは給与明細である。
赤字で「至急申請すること」と書かれているのに気づいて
はギョッと目を見張った。

「おい……、ちょっと! 冨岡様、何ですかこれ!
 給与明細その辺に転がしとくのもどうかと思いますけど、
 給与の支給でなんでこんな急を要することになるんです?!」

驚嘆するに振り返らず、義勇はぼやいた。

「……柱の給与は月ごとの申請が必要になる。支給額に上限がないために、」

は「宇髄様から聴いてたが、太っ腹にもほどがある」と
感嘆の息を漏らしたあと、書類を見直して目を見張った。

「は?
  これ日付が先月なんですけど給与の申請してないんですか? 
 いま無給で鬼殺してるってこと?! 信っじらんねぇ!!!」

「……申請するから書類をよこせ」

義勇は半ばひったくるようにの持っていた書面を奪い取り、
サラサラと筆を走らせた後、に押し付けて返した。
必要事項の埋まった書類を渡されて、は呆れ果てている。

「いや、受け取りますけども……。これ毎月やってるんです?
 一律で甲の隊士の給与分に色つけてもらえばいいじゃないですか、
 そしたら手間も省けますよ」

義勇はまた書類整理に戻り、口を開く。

「柱になった人間はそれ相応の振る舞いを求められる。
 さもなければ下の者の労働意欲に陰りが出る、らしい」

つまり羽振り良く振る舞うのも柱の仕事と言うわけだ。

固定給にしてしまうと他の柱にも影響が出るのでの言ったようなやり方はできない、と
義勇が暗い顔で言うので、は首を傾げたのち、顎を撫でた。

「ははーん、その言い草。さては怒られたことがあるんですね?」
「……」

義勇は無言だったが、否定が返ってこないのでは笑う。

「ははは! 無欲ですねぇ冨岡様。貰えるもんは貰って豪遊すりゃ良いのに!」
「いつ、何で遊ぶんだ。使う暇が無い。
 ……今月はお前の生活用品を揃えるのに多少使ったが」

「俺の備品周りは経費で落ちるでしょ。
 あ、でも給与が“言い値”ってことは、その辺は一緒くたなんですか?」
「そうだ」
「ええー……適当というか、公私混同しそうで怖いですね。
 でもよほど莫大な申請しなけりゃ理由も問われないのか……」

は口元に手をやったあと、次々に提案してみせる。

「お手伝いさんとか雇えばどうです」
「あるいは生活用品の質を上げるとか」
「土地とか転がしてみれば?」

しかし義勇はどれにも興味を惹かれないようだった。

「俺は隊士として当然の仕事をしているだけだ。身に余る給金は恐縮する、が」
「が?」

義勇は書類からへ視線を移して口を開く。

「曲がりなりにも柱としての地位を賜っている以上、
 そのように振る舞うべきなら、やらねばならない」

は一瞬、きょとんとした様子で目を瞬くも、
すぐに半眼になって肩を竦めた。

「……自分で稼いだ金を使うのに、そんな気負う人初めて見ましたよ俺は」

「うるさい。手を動かせ」
「あはは! 失礼しました!」

ムッとした様子で指示する義勇に、は笑って頷いたのである。



は水柱の継子となって初めての任務に向かう道行に、
これまでの師範、義勇の言動を思い返していた。

から見た冨岡義勇は「水の呼吸」の「柱」であることに
強くこだわりを持っている人物だ。

しかし、かといって弟子が鬼殺に対応できるなら、
まだ水の呼吸を習得しておらずとも任務には出すと言い、実際はこうして一人月夜を歩いている。

勤勉で、優先順位がしっかりしている人だ、とは義勇に好感を持っていた。
流派や得物は単なる手段で鬼殺隊士の目的は柱の刀にも刻まれる
“悪鬼滅殺”なのだと、義勇は行動でに示しているように思える。

「どういう理由で期待されてるのかは解せないが、
 なるべくなら応えたいところだよなァ」

一人呟いたところでは鬼の痕跡を見つけ、目を眇めた。

月に照らされた人一人通らないイチョウ並木の通りに、黒い血の跡が這っている。

は血の跡を追いかける。
歩を進めるたびに、風が木々を揺らす音の他、硬いものが折れるような音が聞こえる。
先を行くたびに血痕の量が増え、足を早めれば早めるほど伴うように音は大きくなっていく。

そうして開けた場所に出て、骨がへし折れ、砕ける音を聞いた。

「……」

落葉が敷き詰まる真ん中、こちらに背を向ける影を中心に血の海が広がり、
食い荒らされた若い女の死体が、散らばっている。

転がる女の生首の、濁った目と視線がかち合ったとき、心臓が大きく飛び跳ねた。
全身がかっと熱を帯びていく、槍を握る手にも力が入る。

は閉ざした口を、緩やかに広げた。

「……やぁ、こんばんは。愉しそうだなぁ?」

口から溢れでたのは場違いに朗らかな声だった。
振り向いた影に、は笑いかける。

「一つ、思いついたことがあるんだ。不躾で悪いんだが付き合ってくれ」

影――鬼は、の問いに咆哮で答えた。



が最初に任務に出てから二週間ほど経った日のこと、
順調に職務を全うしているはずのに、
食事を終えた義勇は箸を置き、眉根を寄せて問いかける。

「……お前、日に日に帰りが遅くなっていないか」
「そうですか?」

が膳を前にしてにこやかに微笑んだ。

つい一月前までは数えるほどしか使っていなかった食器と膳も、
この男の笑みも見慣れたものだ、と義勇は内心で息を吐く。
を継子にしてから義勇は水柱邸で過ごすことが増えた。

訓練稽古のためというのはもちろんだが、単純にがいると仕事が捗る。
柱に降りかかる、鬼殺以外の膨大な事務作業をは整理するのが得意だった。
雑事もそつなくこなし、いつの間に風呂の準備や飯の準備が整っていることもある。

弟子としてはできた男に違いないだが、
ここしばらくはやたらに帰宅が遅い。この一点だけが気がかりだ。
訓練の開始に遅れることはないが、その分睡眠を削っている様子である。

任務自体は上手くやれているようで、特に目立つ怪我を負ったとか、
苦戦したとかの話も聞かない……と思い至ったところで、
義勇はが任務の詳細をあまり話題にしないことに気がついた。

よく喋るはずのが、である。

「……昨晩の鬼殺はどうだった」
「え? いつも通りですよ。鉢合わせて格闘して、おしまいです。
 特筆して語ることは何も」

「倒した鬼については報告の義務がある。
 日誌は?」

「もちろん書いておりますとも。
 『血鬼術を使うか使わないか、異形であるならそれについてもなるべく詳細に書く』
 心得ております」

任務の際、鬼殺の成果を報告を出すのは概ねカラスの役目であるが、
隊士本人の報告も義務付けられている。
カラスでは把握できない事項を隊士が感知していることもあるからだ。
義勇はに日誌をつけることを勧めていた。

提出するものと合わせて手元に置いておけば、いつでも見返すことができ、
書くことで倒した鬼のことを覚えておけば、
次に似たような鬼とかち合ったときに大いに参考になるからだ。

義勇は、次の任務での帰りが遅いようなら日誌を見ておくか、と密かに決めて、
その日はと呼吸の稽古に臨んだのだった。



結局、次の日も帰りが遅かったので、義勇はの部屋へと向かう。

足を踏み入れたの部屋は先日の義勇の部屋とは違う意味で紙に溢れていた。
文机に山と積まれているのは教科書の類だ。

本格的な医学の勉強を続けているに感心しつつ、
義勇は分厚い辞書をなんとなしに持ち上げる。

はらりと紙が床へと落ちた。

辞書の間に挟まっていたのだろう。
元に戻さねばと拾い上げると、解剖図のようである。

「これは……、が描いたのか……?」

特別上手いわけではないがよく観察して描いたことが分かる、緻密な絵だった。
教科書を手本に模写でもしたのだろうか、と思ったが、
その絵の細かな筆致に妙な胸騒ぎがした。

義勇はなんとも言えない居心地の悪さを覚えながらも、
当初の目的を果たそうと適当なページに解剖図を挟んで辞書を戻し、文机を探る。

そう時間もかからず義勇はの日誌を見つけることができた。
どうやら言いつけた通りきちんと記録しているようで、墨を吸った紙はずっしりと重い。

義勇はが最初の任務に出た日付を思い返すと、
その日付までページを、めくった。



実験一:回復能力の測定

被験者一番
推定食人数五人以上、十人以下。
血鬼術の使用、無し。
木に鬼を固定した後、四肢を切断。出血多量、顔面蒼白、虚脱、冷汗、呼吸不全等の
症状がでるもおおよそ五分程度で回復。四肢が再生。
完全に再生する前に再び四肢切断。一連の流れを夜明けまで繰り返した。

十回までは回復速度が安定、十回以降徐々に回復速度の遅延が見受けられ、
八十回を超えた夜明けの直前になると四肢の再生は不完全。衰弱状態に変化。

ただし死因は日光に晒したことによる日光焼け。
四肢切断では、“ほぼ”殺害不可能と見て良い。

備考:再生が十回を超えたあたりで食欲増進、凶暴化、言語能力の減退。
再生が四十回を超えたあたりで言語能力が一時的に回復――。




普通日誌に書くような、任務の場所、鬼を捕獲した経緯は手短にまとめられ、
それ以後はこのような実験の記述が微に入り細に入り執拗に続けられている。

義勇のこめかみに、嫌な汗が流れた。

――この記述が本当ならは、
鬼で拷問めいた実験をしていることになる。
では、先ほど見た解剖図は鬼の……。

「何をしてるんですか?」

義勇がハッと振り返ると、帰宅したが槍を抱えたまま開けた障子の前に立っていた。
は自分を見上げる義勇が手に持っている日誌に気付いたらしい。軽く眉を上げる。

「ああ、それをご覧になってたんですね。一言言ってくれればいいのに」

悪びれもせずあっけらかんと言い放ち、
すぐに縁側に腰掛けて槍の手入れを始めたの背に、
義勇は信じがたいものを見るような目を向けた。

「……お前こそ、何をしている」
「何とは?」
「なぜ、こんな殺し方をするんだ?」

日誌に綴られた実験の方法はことさら鬼を痛めつけ苦しめる方法ばかりだった。

「なぜって、気になったからですよ。鬼がいったい、どういう生き物なのかが」

は苦笑して言った。
槍の刃を外す手も淀みない。

「いろんな人から鬼について聞いてはいますが、
 やっぱり自分で見たものを信用したいと言いますか。
 だって『鬼は日光と日輪刀での頸の切断以外で死なない』って!
 普通に考えてどういう理屈なんだよって思いません?」

は笑いながら手際よく、槍の汚れを拭った。

「それに、鬼って人を食った数がそのまま討伐難易度に相当しますよね。
 でも人間を何人食えばどのくらい力がつくのか、についてははっきりしない。
 だったらその基準を見定めて、隊士間で共有したほうが戦略的に便利かなって。
 一時撤退とか、そういう選択の余地が生まれるでしょう」

刃を掲げながら、目を細める。

「俺は少しでも判断材料を増やしたい。人間が死なないのが一番ですから」

手入れのために柄から外された槍の刃は、十字架そのもののように朝日に煌いた。
銀色に鋭く光る刃に錆も傷も一つとして無い。

「鬼の強さの判別方法、十二鬼月なら目に数字っていうのがわかりやすいですけど
 それ以外ですよ、問題は」

抜き身の刃を手慣れた様子で扱いながらはつらつらと言葉を述べる。

「鬼の強さの基準がはっきりしてると、先兵隊士が死んだ時でも鴉が鬼を観察して、
 次にどの階級の隊士を送り込めば攻略できるのかの算段がたてられる。
 隊士を何人も死なせてようやく柱を呼んでたんじゃ、柱の負担も大きい。
 末端で解決できるならそれが最善だし被害は最小限に……」
  
「詭弁だ」

しかし義勇はそれを咎めた。

「何体もの鬼に同じ実験をする必要はあるのか、
 このような、いたずらに鬼を嬲るような真似をする意味が?」

「個体差があるなら見本が一つではダメでしょう、統計出さないと……とか
 理由はいろいろつけられますけど
 まァ、冨岡様の言いたいことはわかります。
 俺がやってるのはいわゆる“人体実験”の範疇になりますから、人道にもとる行為ですね?
 到底見過ごせないと言いたいわけだ」

刃に油を差し、刃を戻し、鞘に収めて布を巻く、
一連の手入れを終えたは義勇に微笑みかける。

「だけど相手は鬼ですよ。鬼畜生。人間じゃない」
「お前はその実験を私情で行い、かつ、楽しんでいるように見える」

流れる水のようだったの言葉がピタリと止まった。

「あくまで鬼殺隊士の本分は速やかな鬼殺。
 鬼での実験は本分を忘れてまで取り組むべきことではない」

義勇が厳しく言うと、は何に引っかかったのか小さく首を傾けた。

「……なぜ俺が楽しんでいると?」
「お前にしては独断専行が過ぎる」

常のであれば、必要だと判断したことだとしても
義勇に話を通してから実験しただろう。
後から報告することもできたはずだ。
は報告、相談を“うっかり”抜かすような男ではない。
今回の件は意図的に連絡を怠ったと見て間違い無いと、義勇には確信がある。

「言い訳を事前に用意してはいるものの、
 気を回しきれていないあたりにも私欲がうかがえる」

義勇は険しい表情のままに告げた。

「……お前は鬼で留めておけるのか」

その言葉の意味を、は過不足なく、受け取ったらしい。
浮かべていた笑みを取り払って能面のような無表情になった。

は鬼に身内を殺されたわけではない。
自らの武芸の才覚を生かすために鬼殺隊に入った。
言ってしまえば鬼には何の恨みもない男だ。

そのがただ武芸の才を謳歌するために鬼を殺すというのであれば、
大義名分を与えられた時、その武芸の矛先は鬼でなく、人に向けられて何ら不思議ではない。

――例えば、鬼の所業と見紛うようなことを起こした人間と相対した時。

どんな理由があろうとも、鬼を倒すべく磨いた呼吸術を、
同じ人間を殺すのに使うことは鬼殺隊士にとって最大の禁忌である。

だからこそ、義勇の懸念を受け止めたはやがて、にこやかに微笑む。

「留めておけなくなる前に死にますよ、俺」
「そう簡単に死んでもらっても困る」

義勇は深々とため息を吐いて、に言った。

「お前のそれは悪癖だ。克服するよう努めろ。
 呼吸術は人を守るためだけに使え」

は薄く笑みを作ったまま何も言わない。
義勇はの目をじっと見つめる。

しばし睨み合った後、目を逸らしたのはの方だった。

「精一杯、努めます」

妥協めいた答えではあったが、ひとまずはこれで良いと義勇は頷いたのだった。