"ワガママ"
サボが去って翌日の朝、キュロスの家に、サムライが二人訪ねてきた。
朝食をとっていたルフィが声をあげて客人を迎え入れる。
「錦えもん! 無事だったのか!」
「連れは例の・・・」
フランキーが錦えもんに尋ねると、頷いて見せる。
「さよう、カン十郎にござる!」
「錦えもんとモモの助が世話になったようだ! 拙者からも礼を言いたい!」
カン十郎が朗らかに挨拶すると、ドフラミンゴが揶揄するように笑い出した。
「フッフッフッ! 随分逃げ回ってくれたなワノ国の侍ども・・・!」
声の主を見てとって、サムライ二人は一歩引いた。
何しろ生首が喋っている上に、それが散々にサムライを追い詰めたドフラミンゴなのだ。
泡を食うのも無理もない。
「ど、ドフラミンゴ!!!」
「打ち首になったと聞き及んではいたが、こ、これは・・・!? 大丈夫でござるか!?」
ギョッとした様子の二人にドフラミンゴは愉快そうだ。
どうやら生首の状態に慣れたらしい。
「生首相手に随分な怯みようだな、フフフッ!
この通り、妹が目を離さねェ内は大人しくしといてやるさ。
・・・まァ隙があるならその限りじゃねェがなァ」
「ウフフッ! お生憎さま。私には油断も隙も無くってよ!」
ドフラミンゴの首を抱えたが笑っている。
「ぬぅ・・・晒し首にも関わらずなんたる傲慢な・・・!」
カン十郎が腕を組んで眉を顰めた。
錦えもんはを見て首を捻っている。
「・・・あと、前々から思ってはいたが、
外界の女子は気が強いというか・・・恐ろしいというか・・・」
「いや、を基準にしないほうがいい。特殊だ、いろんな意味で」
ウソップが錦えもんの背を励ますように叩いた。
「確かに私は幽霊で、普通じゃないけど、ウフフフフ!」
「そう言うこっちゃねェよ」
朗らかに笑い飛ばしたに、ウソップがにべもなく突っ込んでいる。
紅茶のカップをソーサーに置いたロビンが錦えもんとカン十郎に目を向け、外の様子を訪ねた。
「おお、それが、妙な噂で持ちきりにござってなァ」
マンシェリーの花薬が今日もけが人を癒していたのは良いことなのだが、
剣闘士レベッカの父親がどこぞの王子だという噂で巷は持ちきりだったらしい。
ルフィが首を傾げている。
「なんだそれ、変な話だ!! レベッカの父ちゃんは兵隊のおっさんだろ!?」
「その噂は私が流したんだ」
「え!?」
思いがけないキュロスの言葉に、その場にいた皆が声を上げる。
「レベッカの出生を知る者は王族の一部とそれを調べたドンキホーテ・ファミリーの少数の人間。
国中が知っているのは母親のことだけだ。私が父親だとバレる前に噂を流した」
「どうして?」
ロビンの疑問に、キュロスは淡々と答える。
「私には”前科”がある。・・・育ちも劣悪。本来王族と結ばれていい身分ではなかったのさ。
――だからこれでいいんだ」
「いいわけねェよ! レベッカはそれ知ってんのか?!」
ルフィが苛立ちにテーブルを叩いた。
「手紙が渡っているはずだ。
私の人生の全てを正直に綴った・・・。
彼女には軽蔑されるかもしれないが、レベッカはまだ子供だ。
一時の激情で将来の幸せを逃して欲しくない。リク王様にもご理解いただいた」
ルフィは納得いかないのかむすっとした様子で朝食をかきこんでいる。
も何か思うところがあるのか、眉を顰めていた。
「・・・気に入らないわ」
「?」
「私、こういう嘘が一番嫌いよ・・・」
は顔を上げてキュロスに向き直る。
「兵隊さん、あなたがレベッカのことを思っていることは重々承知だけれど、
彼女の幸せは彼女が決めることであって、あなたに決める権利はないのよ。たとえ父親でも」
「・・・」
黙り込んだキュロスに、は首を横に振る。
「・・・でも、私にだって立ち入る権利はないわ、ごめんなさい、出過ぎたことを言って、」
「君が謝ることじゃない。・・・ありがとう、シニョリーナ」
「気にかけてくれたんだろう」と寛大に許したキュロスと、
悩ましげなのやり取りを見ていたルフィは何を思いついたのか笑みを浮かべる。
「そうだな、レベッカが決めりゃいいよな、うん」
「なんか企んでるな、これは・・・」とウソップとゾロはルフィに呆れた眼差しを向けた、その時だった。
キュロスのでんでん虫が鳴り、ノックもそこそこにバルトロメオがキュロスの家に飛び込んでくる。
「ルフィ先輩ー!!! おはようございます!!!」
威勢良く挨拶したバルトロメオだったが、食卓につく麦わらの一味を見て
思わずと言った様子で顔を覆った。
「ぐおおー!!! 6人も”麦わらの一味”が揃うと眩し過ぎて見えねェべ~!!
さながら偉大さのレーザービームだべ~!!!
もしいづが”麦わらの一味”オールスターズに会っちまった日ひゃ、おれァ失明しちまうべコレ~!!!」
「さっさと要件言えよ!!!」
「ウフフ! 面白い人!」
ゾロはふざけた調子のバルトロメオを怒り、は面白がっている。
バルトロメオはゾロの言葉にハッと我に返り、緊迫の面持ちで緊急事態だと告げた。
「海軍のテントに動きが! ボチボチここも危ねェべ!!
大参謀おつる中将と、全元帥センゴクが到着した!!」
「おつるにセンゴク!?」
皆の顔に驚きの色が浮かぶ。
だが、ドンキホーテ兄弟は少々異なる様子を見せていた。
「フッフッフ! おつるさんもいい歳だってのに働くなァ!」
「げぇ!? センゴクさんも来たのかよ・・・!?」
ドフラミンゴは愉快そうに笑い、反対にロシナンテは心底気が滅入ったように頭を抱えた。
「流石にもうおれがハートの海賊団にいるってバレてるよな・・・?
バレてるから来たんだよな?! うわぁ・・・」
煩悶するロシナンテに、ローが尋ねた。
「挨拶くらいしたらどうだ? コラさん世話になったんだろ?
おれがいればいざとなれば逃げられるが、」
「イヤだよ、ぜってェ怒られる・・・!
スモーカーの野郎か?! チクりやがったのは・・・!?」
「ロシー兄さん、子供じゃないんだから・・・」
しまいにはスモーカーに八つ当たり始めたロシナンテに
が苦笑していた。
キュロスは通話したままのでんでん虫に声をかけた。
「レオ、そっちはなんだ?」
『あ・・・! その海軍が動き出しました!!』
通話の相手は小人族のレオだ。
状況が一気に差し迫ったものに変わる。
「海軍が来るぞ!」
「ギャー!! とうとう来たー!!」
「逃げる準備ならいつでもできてござるが」
「船がなくては打つ手もなし、いかがいたそう?!」
焦るウソップとサムライ二人に、船の手配についてを思い出したのか
キュロスがレオに尋ねる。
「レオ!! 頼んだことはやってくれたのか!?」
『もちろんれす! 全て言われた通りに!!』
その返事を聞いていたバルトロメオが場を仕切り出した。
「ルフィ先輩たづ!! 案内します!! まっすぐ東の港へ走ってけろ!!
あんたたづがいづでもこの国から脱出できるよう、
すでに同士たづがずっと要所に待機してたんだべ!!
船の手配も済んでる!!」
「ありがてェな、準備をしてるとは聞いていたが、」
「当然だべ!!」
フランキーの言葉に頷いて、バルトロメオがキュロスの家の扉を開いた。
すでに外には海兵たちが迫っている。
ルフィが立ち上がり、重症だったベラミーへと声をかける。
「ベラミー、立てるか?!」
「もう走れもする!」
「そうか、良かったな!!」
回復を喜んだルフィと裏腹に、ベラミーの表情は複雑だった。
「・・・麦わら、幽霊。おれは死に場所を失った。
トラファルガー、お前もだ、なぜおれを見殺しにしなかった?」
どうやら今後の身の振り方に思うところがあるらしい。
だが、それは海軍に捕まらずに逃げ果せた後に考えれば良いことだ。
はベラミーの背中を押した。
「今それどころじゃないでしょ! 進路なら逃げた後に考えればいいの!
足が動くなら走る! ほら!」
「ぅわっ!? くそっ・・・!」
無理やり前に押し出された格好のベラミーは仕方なく走り出した。
はそれを見て息をつくと、
演説の時に取り戻していたトランクを片手に、銀のレイピアを振るった。
金色の光の粒がドフラミンゴの首の周辺を回る。
「ドフィ兄さんは自分で走ってよね!」
「!」
ドフラミンゴはようやく生首の状態から元に戻り、
その感触を確かめるように手を握り、開いた。
そしてに視線を合わせるために屈む。顔には意地の悪い笑みが浮かんでいた。
「フッフッ、良いのか? わざと海兵に捕まるかもしれねェぞ」
「ドフィ兄さんったら囚人服が着たいの? 趣味が悪いわよ」
は呆れた様子でドフラミンゴを見上げた。
ドフラミンゴは虚をつかれたようで少し考えるそぶりを見せる。
「・・・確かにあれは嫌だな、仕方ねェ」
ドフラミンゴは肩を竦め、と共に駆け出した。
※
東の港へとまっすぐに向かう一行とは進路をそれて、
ローとロシナンテはセンゴクのところへと向かった。
幸い、他の海兵とは別行動をとっていたセンゴクのところまで行き着くのは難しいことではなく、
案外簡単に挨拶は済むかと思っていたのだが。
しばしの沈黙がその場によぎる。
口を開いたのはセンゴクの方だった。
「おかきを・・・どうだ?」
緊張した面持ちのロシナンテに、センゴクはおかきの詰まった袋を差し出した。
瓦礫の上に腰掛ける横にはゴリラがセンゴクから分け与えられたのだろう、おかきを貪っている。
ロシナンテの後ろにはローが崩れた壁にもたれかかり、
どこかぎこちない雰囲気の二人を黙って見守っていた。
「お、お元気そうで、センゴクさん・・・あとおれはどっちかというとあられが好きです・・・」
「そんなことは聞いとらんわ、馬鹿者!」
「はっ! すみません!」
思わず敬礼して見せたロシナンテにセンゴクは、
「相変わらずだ」と一人つぶやき、訝しむようにロシナンテを伺う。
「・・・で? 13年行方をくらませた訳を教えてくれるんだろうな?
生死不明だったお前が2年前シャボンディ諸島で目撃された時は驚いたが、安心もした」
「センゴクさん・・・!」
気にかけてくれていたのだと、どこか感激した様子を見せるロシナンテに、
センゴクは疲れたように眼鏡をはずし、眉間を揉んだ。
「しかし・・・お前は脱走兵だ・・・その上過去に着いていた任務が任務。はァ・・・。
目をかけていたお前に懸賞金をかけざるを得なかった私の身にもなれ・・・」
「ほんっとうにご迷惑をおかけしましたァ!!!」
「コラさん・・・」
90度の角度で謝り倒しているロシナンテに、ローは呆れてため息を零す。
このままだと土下座しかねない勢いである。
センゴクは眼鏡をかけ直し、膝に頬杖をつきながら、ローへと目を向ける。
「・・・まァ、大体の検討はつく。13年前のバレルズ海賊団襲撃事件が発端なのだろう?
なァ・・・トラファルガー。当時ドンキホーテ・ファミリーに居た”珀鉛病の少年”とは、」
水を向けられたローは頷いた。
「おれだ」
「やはりそうか。・・・ロシナンテが任務から離れたのはトラファルガー、お前のためか」
「ああ・・・病院を連れまわされた」
ローは淡々と質問に答えた。
ロシナンテは頭を下げたまま沈黙している。
「それで”オペオペの実”に手を伸ばし、
お前を生かすためにロシナンテは海軍を裏切ったと・・・そういう訳か?」
「・・・そうだ」
センゴクは目を眇めた。
「・・・いや、違うな。
それだけじゃロシナンテはお前と共に海賊にはならなかっただろう」
ロシナンテが弾かれたように顔を上げる。
「なぜ・・・?」
「お前がどんな男か、私が知らないわけがないだろう。
正義感の強いお前だ。子供の病を治すだけなら海賊になる必要はない。
・・・ドンキホーテ・。彼女が関係しているんじゃないか?」
「!」
息を飲むロシナンテに、センゴクはなおも続ける。
「演説を見た。・・・正直に言うと、驚いたよ。
お前は兄のことは打ち明けてくれたが・・・妹がいるとは誰にも言わなかっただろう」
「・・・」
ロシナンテは気まずそうに俯いたが、やがて意を決したように顔を上げた。
「兄は、ドフラミンゴは凶暴な男でした。だが、妹は違う。
あいつは優しい子だった。今でこそ少しワガママな所もありますが、
・・・それでも普通の女の子だったんです。
おれはそんなあいつを、兄の元に置いて逃げ出したんだ。
おれはずっと・・・悔やんでいました」
それは、ローも聞いたことのない、ロシナンテの本心だった。
ロシナンテは目を伏せる。
幽霊となる前、13年前の何もかもを諦めていたの顔が浮かぶ。
「母に似たせいか病弱で、ちょっとした風邪でも死にかけるような有様で、
兄の悪事を知ったとしても、妹には何もできなかったと思っていました。
実際、兄も妹には自分が海賊だということを隠していました。
ドフラミンゴの働いた悪事に、あいつは関係ありません」
センゴクはロシナンテの言葉に驚いたようだった。
ドフラミンゴがに悪事を隠したということが、あまりに意外だったのだ。
そして、そうなるとロシナンテが何を危惧したのかは自ずと理解できる。
「でも確かに、は”ドフラミンゴの妹”です。海賊の身内です。
・・・おれは良い。どんな中傷だっておれは笑い飛ばせる。
だけど妹は違うと思いました。
海軍の中にさえ、ドフラミンゴを恨む人間は数多くいる。
だから、」
「巻き込みたくなかったんだな。
理不尽な攻撃から彼女を守るため、お前は知恵を絞る必要があった。
・・・なるほど、オペオペの実をトラファルガーに食わせたのは、
病弱な彼女を治すためでもあったわけだ」
センゴクはロシナンテの言葉を引き継いだ。
の処遇を考えると、ロシナンテが海軍に情報を全て渡せなかった理由もわかる。
ロシナンテはさらに続けた。
結局が最高幹部の手にかかり自殺に見せかけて殺されそうになったこと。
確実に溺死させるためにと口にさせられた悪魔の実がを幽霊にしたこと。
ヴェルゴのせいでが記憶喪失になったこと。
ロシナンテとローはドフラミンゴに渡された、の残した遺書に残されていた暗号から真実を導き出し、
真実を知らないドフラミンゴに真相を明かすため、
そしてドレスローザの支配を止めるべく、海賊になったこと。
「わかった。概ね納得したよ」
センゴクはロシナンテの語った事実に嘆息する。
「だが、お前の言う”普通の女の子”がドフラミンゴを打倒した経緯。彼女の演説について。
気になることはまだあるが、どれにもそれなりの理由があるのだろう。
しかし・・・どんな理由があろうともお前達は海賊で、私は海兵だ。
私が現役だったなら、お前たちを檻にブチ込んでからゆっくり話を聞いたところだがな」
腕を組んでロシナンテとローを睨むセンゴクに、
ロシナンテは乾いた笑いを零す。
「ア、アハハ・・・」
「好き勝手に生きおって全く、誰に似たんだか・・・」
センゴクのぼやきに、ロシナンテは思わず身を竦めた。
「、すみません」
「なんだ、謝るようなことだと思ってるのか?」
だが、投げかける厳しい言葉と裏腹に、センゴクの口の端には笑みが浮かんでいる。
それを見てロシナンテは瞬き、やがてロシナンテも小さく笑った。
「・・・いいえ、実のところ、これっぽっちも」
自分に恥じ入る生き方はしていないと笑うロシナンテに、センゴクは黙って頷いた。
それで良いと思ったのだ。
自分の歩みに悔いを残さず、自由に生きていればそれで良いと。
どうやら、話はついたらしい、と悟ったローの足元から瓦礫が立ち上っていく。
「何だ!?」
それは藤虎の能力。瓦礫が空を覆い、ドレスローザに影を落としていた。
※
東の港に行き着いていたは空を見上げる。
ドレスローザの半分を覆うほどの瓦礫が浮かんでいた。
「これは・・・なんて能力なの・・・!」
「フフフッ、これをまともに食らって無事でいられるのは、おれたちだけだろうな」
ドフラミンゴは愉快そうに顎を撫でた。
幽霊であるとドフラミンゴに物理攻撃は効かないが、
しかし、仲間たちはそうではない。
海賊たちに相対していた藤虎が、刀を片手に声をあげる。
「お嬢さん、ドンキホーテ・。そこにおりやすね?」
「!」
そこにいた海賊たちが息を飲む。
名指しで呼ばれて、も瞬いていた。
「あんたに聞きてェことがある。
話す間はこの瓦礫、浮かしたままにしときやしょう」
「・・・!」
不安そうにロビンとウソップがを見つめていた。
は固く目を瞑ったと思えば、すぐに毅然と一歩前に出た。
「・・・いいでしょう。承ります」
静寂が辺りを包んでいた。
の声に藤虎は頷き、そして尋ねた。
「あんたは実の兄を討ち取って、方々から恨みを買った。それにあの演説・・・、
見事な啖呵を切りやしたね。だが、あれをやっちゃあ、課せられる罪と枷の重さが倍になる。
なんであんなことをしたんです?」
がドレスローザ王宮から近隣諸国に向けて行ったスピーチ。
それが何をもたらすのかは、もわかっていた。
海軍を牽制し、政府や闇取引に精通した連中に喧嘩を売り、貴族に釘を刺した。
ただでさえドフラミンゴを下し、その身柄を手中に納めたのだ。
きっと大勢から命を狙われることになるだろう。
「私はどれだけ恨みつらみを向けられても構わない。
罪も枷も、幽霊である私には重石にならないわ。降りかかる火の粉なら払えばいいしね」
は真摯に答えようと声をあげる。
「・・・私はワガママで国ひとつを潰した。でもそんなの珍しいことじゃない。
天竜人たちは同じことをしている。息をするように。
己の罪深さも、貴族として生まれた意味さえわからぬまま、」
藤虎が息を飲む。
は皮肉に笑い、自身の首をつかんだ。
「せいぜいこの首にかける値を吊り上げるがいいわ。
『紙切れ一枚の証明がなければ、お前もこの女と同じ罪を背負うのだ』と知らしめてちょうだい」
の啖呵を聞いて藤虎の口に、微かな笑みが浮かんだ。
「・・・、難儀なおひとだ」
「ウフフッ、あなたこそ!
サイコロに任せて海賊を拿捕するか決めるなんて、そんなの方便でしょう?」
軽口に、藤虎は眉を上げる。
「この状況でその余裕。確かに大した”悪党”だが・・・にしてもいささか野暮ってもんだ」
「あら失礼、殿方のこだわりには疎いもので・・・」
は藤虎の背後に迫るルフィに気がついて手を振った。
「そういうのは我らが船長にお任せするわ! ルフィ!!!」
「、交代だ!
おい、”トバクのおっさん”!!! おれがわかるかァ!?」
ルフィもと藤虎に気づいて走るスピードを上げる。
やって来たルフィに後を任せ、はコロシアムの海賊たちと共に、
船へと急いだ。