選択された運命


    ドレスローザ北東。

    シーザー引き渡しチームは情報収集と
    状況の確認のためにカフェに入ることにした。

    ローが適当な注文のついでにグリーンビットについて聞くと、
    店主は物珍しそうに眉を上げる。

    「アンタ達、研究員か探検家かい?あそこはあまり勧められねェなァ。
     命がけの用事がねぇんなら止めた方が良い」

    ロビンは店主の言葉を受けてサングラスのフレームに軽く触れる。
    その視線は橋に向けられていた。

    「あの橋は随分頑丈そうだけど?」

    その言葉に、店主は頷いた。

    「あァ、確かに鉄橋だ。だがほら、今じゃ入り口は見た通り誰も使ってねェ。
     『グリーンビット』の周りには”闘魚”の群れが住み着いている」
    が調べた通りか・・・」

    思わず零したシーザーの言葉を聞いて、店主は怪訝そうな顔をする。

    「知ってて行こうってのか?・・・アンタら命知らずだな。
     あの橋を渡って返って来た奴なんか見たことねェってのに」
    「は!?」

    ウソップが冷や汗をかいて小声でローに言い募った。

    「おい、トラ男!今すぐ引き渡し場所を変えろ!」
    「そうだぞ!引き渡される身にもなれ!バカ!」

    シーザーの顔色も真っ青だ。
    だがそんなものは関係ないと、ローは首を振る。

    「変えねぇ。ここまで来てガタガタ騒ぐな」

    その横暴な答えにウソップとシーザーは唖然としていた。
    ローはテラスから辺りを見渡して、
    変装のためにつけたサングラスの下、目を眇めた。

    「そんな事より、おれが心配してんのはこの国の状況だ。
     王が突然辞めたってのに、何だこの平穏な町は・・・!」

    町を行き交う人々の顔は明るい。

    王が、それもこの国に富を与え、
    支持されていたドフラミンゴが玉座を降りて、
    こんな風に平穏に過ごせるものなのだろうか。

    本当なら、民衆の混乱に乗じ、
    麦わらの一味に工場の場所を探らせることも出来たはずだった。
    ローは腕を組んで、軽く俯く。

    「早くも完全に想定外だ・・・!」
    「オイ、大丈夫かよ!」

    計画が上手くいっていないというのにどこか落ち着いている様子のローに
    ウソップが抗議する。

    そんなやり取りの最中、ロビンが何かに気がついたのか、
    帽子を目深に被って、何かから顔を背けた。
    ウソップが首を傾げ、尋ねようとすると指を立てて、静かに、と合図する。

    ロビンが視線を背けた方向に居たのは、白い衣服を着た3人の男達だ。
    顔を隠した彼らは世界最強の諜報機関の一員。
    サイファー・ポール”イージス”ゼロ。
    「CP-0」と略される、世界政府の精鋭である。

    犯罪者でもあるシーザーは
    彼らに気づいて苦虫を噛み潰したような顔をしている。
    ローは微かに息を飲んだ。

    「『CP-0』、何しにここへ・・・?」

    「え・・・”CP”?!
     もしかして、『CP9』と関係があるのか?!」
    「その最上級の機関よ。・・・彼らが動く時に、良い事なんて起こらない」

    ロビンが付け加えるように言った言葉に、ローは頷いた。
    昨夜のの言葉が、脳裏に蘇る。

    『ただ私、何か見落としている気がしているのよ』

    あっけなく玉座を降りたドフラミンゴ。
    平穏なドレスローザ。そして、現れたCP-0。
    うまく行った事もあれば、幾つか予想外の要素もそこにある。

    「見落としか・・・」

    ローは思わず呟いていた。
    何か、知らず知らずの内に、致命的なミスをしているのだろうか。
    だが、ローは小さく頭を振る。

    既にシーザーの記憶を奪っているのだ。
    その時点で、ドフラミンゴの足場は崩れている。
    例え、この先ローの命が危ぶまれるような事態に陥ったところで、何も問題はない。
    とっくの昔に、覚悟なんて出来ていた。

    ローは努めて冷静に告げる。

    「とにかく、計画は変えない。グリーンビットへ行こう」

    シーザー引き渡しチームはカフェを後にし、鉄橋へと足を進めた。



    鉄橋を進めば、闘魚の背びれがいくつも海面に浮かんでいるのが見て取れる。
    人の気配につられてか、何匹かの闘魚が鉄橋の柵をねじ曲げて突っ込んで来た。
    闘魚は角を持つ、凶暴な牛面の巨大魚だ。
    その有様に、魚を通り越して海獣の類いではないかとウソップとシーザーが騒いでいる。

    普段のローであれば一蹴するのも訳は無い話だったが、
    今回ばかりは体力を温存しておく必要があるとウソップ、ロビンに主な戦闘をまかせた。
    ウソップは散々文句を言いながら闘魚に強力な一撃を打ち込んでいる。
    ロビンも冷静に闘魚を無力化していた。

    ウソップは海面に居る闘魚の量に眉を顰め、叫んだ。

    「トラ男!群れが相手じゃキリねェぞ!走り抜けよう!」
    「だったら鼻屋!シーザーの錠を解け、コイツにも戦わせる!」
    「はァ!?」

    人質であるはずのシーザーを自由の身にすると聞いてウソップはもちろんの事、
    シーザーも唖然と声を上げた。

    「そしたら空飛んで逃げるだろ!?」
    「下手なマネはできねェさ、なァ、シーザー?」

    ローは走りながら手に心臓を掲げてみせる。
    シーザーはローの手の中で鼓動する心臓が自身のものだと気づき、息を飲んだ。

    「ギャァ!おれの心臓!?」
    「お前、パンクハザードでおれの心臓を散々手荒に扱っただろ。
     逆らったらどういう目に遭うか・・・分かるよな?」

    不敵に笑うローに、シーザーはこめかみに青筋と冷や汗を浮かべる。
    ウソップに錠を外され、シーザーはぐぬぬ、と悔しそうに歯噛みした。

    「白衣の悪魔もてめェもおれを何だと思ってやがる・・・!ろくな死に方しねェぞ!
     この天才科学者をコキ使いやがって・・・!」

    シーザーはガスタネットで闘魚を一蹴し、一行は橋を駆ける。

    「なんでおめェは戦わないんだよ、七武海!」
    「・・・おれの能力は使う程に体力を消耗するんだ。
     ドフラミンゴと一瞬でも対峙するなら油断は出来ねェ!
     ”帰り道”こそ本領を発揮する必要がある!わかるか!?」

    ローは彼にしては珍しく、声を荒げる。
    その声には覚悟めいたものが滲んでいた。

    「少しでも力を温存しておくんだ!相手はドフラミンゴだぞ・・・!」

    橋が途中で途切れていることに気がつき、ウソップが焦りの声を上げた。

    「ヤベェ!橋が壊れてる!向こう岸は霧でよく見えねェ!正面から闘魚が来るぞ!」

    いよいよ能力を使わなければならないか、とローが短く舌打ちし、
    ROOMを発動しようと手を掲げた、その時だった。
    こちらに突進して来た闘魚が、網に掛けられたのだ。

    「!?」

    突然の出来事に一行は、一瞬事態を飲み込む事が出来なかった。

    「闘魚の攻撃が止まったわ」

    ロビンが呆然と呟くと、賑やかな声が聞こえて来た。

    「よーし、引けー!」
    「とれた、とれた!今日は決戦!闘魚シチューで力をつけるぞー!」

    わーわーと、向こう岸で誰かが声を上げているようだった。

    「島の、住人達か?」
    「無人島だって言ってただろ?
     ・・・聞いてみるか」

    ローは首を傾げ、ウソップが口元に手を当てて向こう岸に声をかける。

    「おーい、そっちに居るのは誰だ?!おれたち橋を渡りたいんだが!」

    ウソップが声をかけた瞬間、あれほど賑やかだった声が止んだ。
    網に掛けられた闘魚がずるずると遠ざかって行く。

    「・・・何だったんだ?」
    「さァな・・・」

    ウソップの疑問に、ローは軽く首を振り、
    気を取り直して後方の闘魚を蹴散らしていたシーザーに声をかけた。

    「まぁ良い。おいシーザー。お前浮力の強いガスを発生させられるだろう」
    「あ?ああ、出来るが・・・」
    「おれたち3人を乗せて島まで飛べ。いわゆる気球のような状態が望ましい」
    「なんだと!?」
    「・・・できねェのか?」

    ローがこれ見よがしに心臓を見せつけるとシーザーは憤りながらも
    気球のような形態をとってみせた。

    「ロー!てめェ本当に覚えてろ!?
     人を3人浮かすのにどれほどガスエネルギーを要すると思ってやがるんだ!
     おれは大切な人質だぞ!」
    「いいからさっさとしろ」
    「こ、この野郎・・・!」

    ブツブツと文句を言うシーザーを半ば無視して、一行は鉄橋を渡りきった。
    シーザーは疲れきって息を乱している上に、
    ウソップに海楼石の錠を再び嵌められて散々だと怒っている。

    橋の先は無人島グリーンビット。
    巨大な植物群が生い茂り、鉄橋周辺の浜辺には闘魚に攻撃を受けたのだろう、
    船の残骸が漂着していた。

    ローは南東のビーチに目を向けた。

    「15時になったらあそこにお前を放り出す。それでいいな」

    シーザーはごくり、と唾を飲み込んだ。
    周囲を警戒していたウソップが、逆方向の海岸を見て声を上げる。

    「あ・・・!あれは海軍の軍艦だろ!?島に突っ込んでるぞ!」
    「何だと・・・!?」

    岸に乗り上げた、と言うよりは、
    まるで森へ突っ込んだかのような奇妙な状態の軍艦に、ロビンは望遠鏡で様子を伺う。

    「植物の傷がまだ新しい。・・・あの船はついさっきここへ到着したようね。
     船体も思った程損傷していないわ。海兵達がここへ辿り着くのも時間の問題」
    「あ、あの闘魚の群れを進んでるのに・・・!?」

    シーザーが頭を抱え、叫んだ。

    「まさか取引がバレてるのか!?聞いてねェぞ!!!」
    「バカ科学者!お前声でけェよ!海軍が来るだろ!?」

    ウソップが散々静かに、と言い募るのを無視して、シーザーはローに抗議する。

    「おいロー!おれは賞金首だ!
     ボスであるジョーカーが”七武海”を辞めた今、おれを守る法律は何も無い!
     海兵の居る島に錠つきで放り出されたらおれは・・・!
     いや待て、ジョーカーだって今やただの海賊じゃねェか!」

    「ああ、ろくな目には遭わねェだろうな」
    「お、お前、この・・・!」

    ローが口角を上げたのを見て取って、ロビンがクスリ、と笑みを零す。

    「・・・計算通りという訳?悪い顔してるわよ?」
    「偶然だ。なぜおれが海軍を動かせる?」

    だが、スモーカーは確かに働いたらしい。
    パンクハザードで行く先を言えば追ってくるだろうとは思っていた。

    シーザーが怒りに打ち震えながらローを怒鳴りつける。

    「ここでの取引は不当だ!中止しろ!」

    ローは呆れたようにため息を吐いた。

    「海軍が敵なのはこっちも同じだ。
     おれは”麦わらの一味”と手を組んだからな」
    「てめェ!まさかハメやがったんじゃねェだろうなァ!?」

    なおも詰め寄るシーザーを黙殺して、ローはウソップとロビンに向き直った。

    「約束の時間まであと15分。
     お前らの”狙撃”と”諜報”でおれの援護を頼む。
     森の中は誰が潜んでいるかわからねェからな。異常があったらすぐに連絡を」

    ロビンは頷いた。

    「ええ、わかったわ」

    ウソップも抗議していたが、ロビンに宥められ、森へと足を進める。
    15分後、何が起きるのか、誰もまだ知らなかった。



    ドレスローザ近海、サウザンドサニー号では緊迫した空気が流れていた。

    固唾を飲んで状況を伺うサニー号安全確保チームの面々。
    ジョーラと、その部下。
    そして、未だに眠り続けると、ナイフを前に強ばった表情のモネ。
    モネはうわ言のように呟いた。

    「・・・を殺せば、若様の部下に戻れる」

    振り返ればこれほどの騒ぎが起きていると言うのに、が起きる様子は無い。
    ”魔眼”で新たに行動を制限されることは無いだろう。

    モネは唾を飲み込み、ジョーラから投げ渡されたナイフを鳥の足で掴み、羽ばたいた。

    「そう、それでいいざます」
    「ちょっと!人の船で何するつもりなの!?」

    ナミが声を上げた。天候棒を操り、雷を呼ぼうとするも、
    オブジェのような身体のままでは動きがおぼつかない。
    ジョーラの方が一枚上手だった。

    「”ブロークンフアート”!」

    ジョーラの攻撃を受けた天候棒が
    どろりと蕩けた彫刻作品のような有様になって、ナミは悲鳴をあげた。

    「きゃあ!?気持ち悪い!なによこれ・・・?!」
    「しつこいざます!ファミリーの問題だと何度言えば分かる!?
     モネ!麦わらの一味に邪魔はさせないざます!とっとと首を切っておしまい!」

    ブルックも、チョッパーも、ナミも。モモの助も。
    モネに向かって、止めろ!と叫び、各々の手段でモネを止めようとしている。
    ジョーラの部下はブルックに冷気を纏う剣で斬りつけられ倒れ臥したが、
    すぐにジョーラがブルックの剣をアートへ変えた。

    刻一刻と状況が変化して行く中で、
    しかしモネは徐々に、雑音が消えて行くのを感じていた。
    モネの目には、横たわるしか映らなくなっている。

    閉じられた目。雪のような白い肌に髪。
    モネの居場所と心を簡単に奪った白衣の悪魔が眠っている。

    その首を搔き切れば、自由になれるのだろうか。
    ”魔眼の支配”から逃れ、ドフラミンゴの元へ帰れるのだろうか。

    狙うのは喉だ。モネは足を振り上げた。
    誰かを殺めることなど、モネにとっては雑作も無いことだ。
    しかしそのとき、モネは思い出していた。

    敵である男の声を。

    『本気でお前に芽生えた感情の全てが”魔眼”に依るものだと思っているのか』

    パンクハザードでと出会い、
    モネは数日もしないうちに、異常な感覚を覚えていた。

    警戒しなければならない相手と知りながら、好意を抑える事が出来なくなった。
    笑いかけられれば、もっと笑って欲しいと思うようになった。
    たわいもない、雑談のような会話が楽しくて仕方が無かった。
    誰かに癒されるだなんて考えた事も無かったのに、側に居ると心が安らいだ。
    を右腕として側に置く、ローが妬ましかった。

    政府の残した実験の証跡を見て、時折眉を顰めていた優しいにだけは
    モネが子供達に惨い仕打ちをしていることを知られたくなかった。

    がローと共にドフラミンゴに牙を向けるつもりだと知ったとき、
    酷く失望し、腸が煮える程の憎悪を覚えた。

    そして、が”魔眼”でモネの心を奪ったと知ったとき、
    モネは納得するとともに、落胆していた。
    に教えられた、煌めくような感情が偽物だったと知ったからだ。

    ”偽物” 本当に、そうだろうか。

    モネが振り上げたナイフの切っ先が、の首もとで止まった。
    まるでモネが死ぬ立場かのように、モネの脳裏に走馬灯が巡る。記憶が走る。
    心臓が暴れているかのように、うるさかった。

    鮮やかに蘇るのは静かな女の声だ。

    『あなたは自分で選ぶの。自分の行く末を』

    はモネに選択肢を与えた。
    殉じて死ぬか、裏切って生きるか。
    自身の良心に目を瞑り続けるか、自身の良心に耳を傾けるのか。
    モネにとってはどちらも苦痛を伴う選択肢であったが、
    はモネに、自由の一片を示したのだ。

    差し伸べられた手を掴むしか無かった今までとは違う道を、モネは選べた。
    それが悪魔の指し示す、苦難の道であったのだとしても。

    ナイフが硬い音を立てて、甲板に転がった。

    「モネ?何してるざます?麦わらの一味はもう手を出せない。
     早くとどめを刺すざます!」

    「・・・嫌よ」
    「何?」

    ジョーラが訝し気に眉を顰めた。
    その場に居た皆が息を飲む。モネは振り返った。

    「私はを殺さない。殺したくない」
    「何を言っているざます?
     あーた、それが何を意味するか分かっているざますか?」

    モネは笑みを浮かべた。
    諦観と、僅かに自虐の混じった微笑みを。

    「・・・”裏切り”と言うことになるのでしょうね。
     若様の為に生きたいと思っているのは変わらないけれど、
     確かに、私は若様のために死ぬ事は出来なくなったのだから」

    モネは俯いた。目を瞑り胸に翼を当てる。

    を憎む気持ちは勿論あるし、今の状況を納得してるわけじゃない。
     それでも私は、に生きていて欲しいと思ってる。
     ・・・の、笑った顔が見たいから」

    モネは目を開き、を背に翼を広げる。
    その仕草にジョーラは驚愕し、やがて眉を顰め、を指差した。

    「忌々しい・・・!白衣の悪魔は随分念入りにあーたを洗脳したようね!?
     あーたが出来ないというのならあたくしがトドメを刺せばいいだけの話ざましょ!?」

    ジョーラは煙を出そうと手の平を向ける。
    だが、モネの方が早かった。

    「”雪風”」
    「ぐっ!」

    モネが息を吐くような動作をしたかと思えば、
    雪が強風と共にジョーラに吹き付け、ジョーラの手から放たれた煙が霧散する。
    ジョーラが思わず顔を庇うように腕を前に出した。

    モネは羽をはためかせ、ジョーラを見下ろす。

    「ジョーラ。あなたにを殺させはしない」

    ジョーラは眉を顰め、苛立ち混じりにモネを睨む。
    手首を掴み指を鳴らしながら、低く唸るように告げた。

    「・・・少しお灸を据える必要があるざますね。
     ”血の掟”を裏切ることがどういう事か、身を以て知るがいいざます!」
    「ええ・・・、承知の上よ!」

    ごう、と唸るような音を立てて、風が吹いた。

    「モネさん・・・!」

    ブルックが思わず、と言ったようにモネの名前を呟いた。

    ジョーラに雪兎をぶつけるモネに、雪兎をアートに変え、無力化するジョーラ。
    モネもジョーラも、同じドンキホーテ海賊団の幹部だと言うのに、
    互いに容赦なく攻撃を交わしている。

    ナミが羽ばたくモネを見つめて言った。

    「ねぇ、・・・モネは洗脳されてるって言ってたけど。
     洗脳された人間が、洗脳した人間の笑顔が見たいって、言うものなの・・・?」
    「わからねェ。だけど」

    ナミの疑問にチョッパーが答える。

    「多分、やろうと思えばはモネを、”のために死ねるような人間”
     ”の言う事なら何でも聞くような人間”
     そんな風にすることも出来たんだ。
     でも、はそうしなかった。それをモネは分かってる・・・だから、」

    モネはその翼を氷の刃に変える。
    ジョーラが転がっていたナイフでそれを受けている。

    ブルックが、チョッパーの言葉を受けて、納得するように頷いた。

    「だからモネさんは、さんのことを悪く思えないのですね。
     ヨホホ・・・あの方も罪なお人です。
     さぁ、いつまでも、私たち指をくわえて見ている場合じゃない。
     助太刀いたしましょうか」
    「ホネ吉、どうやって・・・!?」

    ブルックはモモの助の疑問に、半ば独り言のように答える。

    「ただ、やはり・・・モネさんに協力を仰がなくてはいけませんね」